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  • 2017/5/5 05:00:21

築地「場外」市場はのこります(Report 49)『魚河岸スタジオの「お肉」セミナーに参加しました②』

築地場外市場の老舗が、それぞれ専門の食材について、おいしく食べるテクニックを教える「築技(つきわざ)セミナー」。「魚河岸スタジオ」で初めて開かれた「お肉」の講習に参加したルポの後編です。テーマは「ぶた&ラム」。肉の基礎知識をバッチリ学んだあとは、いよいよ調理台の前へ。スーパーなどで買った安い肉を、おいしく食べる工夫とは?

 

たっぷりと用意された食材。左はラム肉、右は豚肉

たっぷりと用意された食材。左はラム肉、右は豚肉

 

目の前には、国産の銘柄豚と輸入肉、希少価値の高いブランド肉と普段使い用の赤身などいろいろな種類の肉がドンと置かれました。まずは、何もつけずに焼いただけで、味の違いをくらべようとしたのですが……。

「ラムって、まったくくさみがないんですね」「やわらかで、ジューシー」「え、こんなにおいしいメキシコ産の豚肉って、あるんですか?」と、参加者たちは、思わず顔を見合わせて賞賛の嵐です。正直、おいしいです。どの肉を食べても!

 

近江屋牛肉店3代目・社長の寺出昌弘さん

近江屋牛肉店3代目・社長の寺出昌弘さん

 

それもそのはず、本日のお肉セミナーを開催したのは、創業87年を誇る『築地近江屋牛肉店』。小売りはもちろん“仲卸”としても一目おかれる老舗のお肉屋さん。半端な肉などありません。

中でも近江屋さんイチオシの「和豚もちぶた」には、「やっぱり、ほかとは違う!」と参加者から歓声が。おおお、もっちりと弾力のあるあぶら身に、ジュワワッと甘みほんのり~。こんな豚肉、食べたことがありません。

 

写真(03)(本文用)

 

おいしく食べるコツを伝授するのは、トラベリングシェフの小暮 剛さん。寺出さんが「肉を料理するなら、この人」と今回の講師に招きました。

「近江屋さんのお肉は、どれもレベルが高くて、創作意欲が掻き立てられます。今日は、たとえばスーパーの特売で買ったようなお肉でも、おいしく食べられるコツをお教えしますよ~」。小暮シェフは、さまざまなコツをおしげもなく披露してくれました。

豚でもラムでも使えます。

 

【コツ① 塩・コショウを均等に】【コツ② くさみの原因は水分】

【コツ① 塩・コショウを均等に】【コツ② くさみの原因は水分】

【コツ① 塩・コショウを均等に】

パットを水にぬらし、ヘリに対して平行に、直線を描くよう中の水滴をふき取る。上から塩コショウをしたときに、まんべんなく広がっていることを確認して肉を置く

【コツ② くさみの原因は水分】

新鮮ないい肉に塩コショウをするときは、焼く直前でOK。冷凍肉などのくさみを取るためには、塩をふってしばらく置く。そのときにペーパータオルなどに包んで水分を吸収するとよい。安いお肉には、コショウのほかに市販のガーリックパウダーをプラスすると、味がよくなる

 

写真(05)(本文用)

 

「びんの口を上に向けて、腕をクルマのワイパーみたいに動かして……」と、参加者に塩コショウの振り方をていねいに教える小暮シェフ。なごやか~な料理講習会です。

 

【コツ③ オリーブオイルでマリネを】

【コツ③ オリーブオイルでマリネを】

【コツ③ オリーブオイルでマリネを】

「肉をおいしくする究極のワザは、オリーブオイル」と、オリーブオイル・ソムリエでもある小暮シェフは言いきります。とくにパーティの大皿など、冷めてから食べるような料理を作るときには、オリーブオイルのマリネは欠かせないそう。「上質なエクストラ・ヴァージンオリーブオイルを使ってください」

 

【コツ④ 熱いフライパンにのせたら動かさない】

【コツ④ 熱いフライパンにのせたら動かさない】

【コツ④ 熱いフライパンにのせたら動かさない】

肉は、なるべくブロック(厚切り)で焼くとおいしくなる。フライパンの上では動かさず、十分な焼き色がつくまで待つこと

 

【コツ⑤ 火を通すが焼き過ぎない】

【コツ⑤ 火を通すが焼き過ぎない】

【コツ⑤ 火を通すが焼き過ぎない】

ていねいにシッカリと焼き色をつけてから裏返す。余熱がいきわたることを考えて、ちょっと中身が赤いくらいで火からおろす

 

【コツ⑥ 切り口はロゼ】

【コツ⑥ 切り口はロゼ】

【コツ⑥ 切り口はロゼ】

切ったときに、ほんのりとしたピンク(ワインでいうロゼ)が残っている焼き具合がおいしい。焼いたあとにフライパンに残ったオリーブオイルと肉汁は捨てないで肉にかける(写真はラム)

 

【コツ⑦ 料理は段取り】

【コツ⑦ 料理は段取り】

【コツ⑦ 料理は段取り】

料理に取り掛かるとき、最初にすべての食材を切って並べておくのが、出張料理人の小暮流

 

調理台の上には、きれいに切りそろえられた盛り付け用の野菜が並んでいました。小暮シェフは、調理の現場に、サッと茹でて、だし汁に付けこんだ野菜を、パックに詰めて持っていくのだそう。旬のタケノコ、カラフルなパプリカ、キャベツ、もやしにブロッコリー……。「だしにつけこむのは、時間がたっても、野菜をおいしく食べられるからです」。冷蔵庫にストックしておけば、いつでもパパッと使えそう。これはお役立ちのアイディアです!

 

写真(11)(本文用)

 

肉が焼けたら、あとは盛り付けるだけ

 

【コツ⑧ 味噌ソース】

【コツ⑧ 味噌ソース】

【コツ⑧ 味噌ソース】

たちまちお肉がおいしくなるという小暮シェフのおすすめソースは「みりん1:酒1:味噌1」の超カンタン配合。火にかけて、かき混ぜながらちょっと煮詰め、炒りゴマをたっぷりと入れます。「さらにエクストラヴァージンのオリーブオイルを加えると極上の味に!」

 

写真(13)(本文用)

 

焼いた肉をカットして、これでもか、と野菜をのせて味噌ソースをかけた一品。見た目きれい!おいしそう。

 

写真(14)(本文用)

 

野菜と肉との組み合わせは、それこそ無限大。またたく間に何種類もの料理が出来上がりました。段取りも手さばきもあざやか……見守る参加者たちも笑顔になります。

 

写真(15)(本文用)

 

じゃ~ん! こんなにお肉を食べたのは久しぶり~。お肉をおいしく食べる講習会は、たくさんの野菜といっしょにお肉を食べるコツが習える、ヘルシーな料理教室でもありました。

 

お料理のことも、築地での買い物のことも。その場でなんでも質問できるアットホームな雰囲気=「魚河岸スタジオ」(『築地魚河岸』築地6-26-1小田原橋棟)

お料理のことも、築地での買い物のことも。その場でなんでも質問できるアットホームな雰囲気=「魚河岸スタジオ」(『築地魚河岸』築地6-26-1小田原橋棟)

 

「築技セミナー」は、今後も、このような一般客に向けた講習会を開くそうです。ずーっとプロを相手に商いをしてきた築地場外市場の老舗たちが、自ら講師をかって出てくれます。そこには、日本一の台所・築地というプライドと、これからも築地に残って商いを続ける、と心に決めた店主の皆さんの熱い意気込みが感じられました。セミナーに参加した人たちは、ますます場外市場のファンになると思います。(おしまい)

Text : miho

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