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  • 2017/4/28 05:00:35

築地「場外」市場はのこります(Report 48)『魚河岸スタジオの「お肉」セミナーに参加しました①』

築地場外市場の新スポット「魚河岸スタジオ」で開催される「築技(つきわざ)セミナー」では、場外の老舗(プロショップ)が、それぞれの専門の食材について、おいしく食べるテクニックを教えてくれます。このほど開かれた「お肉」をテーマとしたセミナーのー第一弾で取り上げたのは、わたしの大好きな「ぶた&ラム」!

「安いお肉でも、ちょっとした工夫でグンとおいしくなります」のうたい文句に誘われて参加しました。勉強編と実践編の2回にわたってご報告します。

 

写真(01)(本文用)

 

「築技セミナー」が開かれるのはオープンして間もない「魚河岸スタジオ」。この連載では何度も登場しているお買いもの施設『築地魚河岸』(築地6-26-1)小田原橋棟の3階にあります。

ガラスごしに中をのぞくことができるオープンな造りなので「今日は、何をやっているかな?」と、いつも気になります。間仕切りは可動式で、となりにある休憩所と一体にして大型のイベントにも対応できるそうです。

 

「魚河岸スタジオ」は、プロスペックの調理環境を備えたピッカピカのキッチンスタジオ

「魚河岸スタジオ」は、プロスペックの調理環境を備えたピッカピカのキッチンスタジオ

 

「築技」とは? 「80年以上食のプロを相手に商売を続け、そのなかで培われた文化と技こそ築地の大きな財産であり、築地が日本一の台所と呼ばれる由縁でもある」――開場100年を前に、あらためて築地の強みを打ち出そうと、場外市場の店々に受け継がれる食の技を「築技」とネーミング。「築技」の名のもと、食にまつわるセミナーやイベントを積極的に展開していくプロジェクトです。

今回の「お肉」セミナーの講師は、創業87年の老舗『築地近江屋牛肉店』三代目の寺出昌弘さん。「築技」の発起人のひとりで、「素材の最高のおいしさを追求してきた伝統の技を広くお伝えして、築地を盛り上げていきますよ~」と意気込みます。

 

今回はこのポスターを見て応募しました

今回はこのポスターを見て応募しました

 

「築技セミナー」を主催するのは、「NPO築地食のまちづくり協議会」。当初は業者向けがおもでしたが、これからは一般向けの講習会が、どんどん実施されます。みなさんも参加しませんか?

4月は「ぶた&ラム」のほかに「牛肉&ワイン」や「鰻」をテーマに開かれました。

【5月の築技セミナー情報】

○5月11日(木)旬の食材 料理教室「はじめての貝むき」(参加費3000円 応募締切5/6)

○5月25日(木)「かんたん ヘルシー おいしい くじら」(参加費1000円 応募締切 5/15)

※どちらも応募者多数の場合は抽選

(問)☎03-3541-9444(NPO築地食のまちづくり協議会)

 

【おいしくなるコツを知る ぶた&ラム】セミナー

『築地近江屋牛肉店』(築地4-14-1)社長の寺出さん(右)と、料理を担当する出張料理人の小暮 剛さん

『築地近江屋牛肉店』(築地4-14-1)社長の寺出さん(右)と、料理を担当する出張料理人の小暮 剛さん

 

『築地近江屋牛肉店』は、初代社長が近江牛の店で丁稚奉公をしたことから牛肉店の名を掲げる場外市場の人気精肉店。店頭にはワニの肉(!)まで並ぶピカイチの品ぞろえで、少量をお願いしても気持ちよ~く応対してくれます。

「この築技セミナーを、築地の食のプロフェッショナルと仲良くなるチャンスにしてほしい」と寺出さん。「店頭でも、どんなことでも気軽に聞いてください。身近な食のアドバイザーとして、みなさんのお役に立ちたいと思っています」とあいさつ。和やかな雰囲気で講習会がスタートしました。

 

肉料理のコツを教えてくれる小暮さんは、国内はもとより世界各国を巡って腕をふるうトラベリングシェフ。これまでに訪ねた国は95か国。その活躍ぶりは「情熱大陸」や「クレージージャーニー」などのテレビ番組で特集されています。「肉のことをわかっていて、おいしさを最大に引き出してくれる、もっとも信頼できる料理人です」と寺出社長。

 

手前がラム肉の最高峰といわれるアイスランド産。右奥がオーストラリア産

手前がラム肉の最高峰といわれるアイスランド産。右奥がオーストラリア産

 

まずは寺出さんによる座学です。「ラムは1歳を過ぎると、マトンと呼ばれるようになると言われていますが、じつは永久歯が1本生えたところで、もうラムとは呼ばないんです」。「へぇ~」と、思わず講義に引き込まれます。

 

ラム本来のおいしさを知ってほしいと、今回は希少価値の高い「アイスランド産ロール」が用意されました。アイスランドの高地で放牧され、野生の牧草を食べて育つラムは肉質がやわらかく、くせがないそう。普段使い用の「オーストラリア産ラム肩ロース」と食べ比べます。

 

「においをかいでみてください」。参加者たちは肉が並べられたパットに鼻を近づけます。「ラムはくさいと言われがちですが、どちらも、いやな感じはないでしょう」。

日本で羊肉を食べるようになった歴史などをひもときながら、「輸送システムが整ったおかげで、いい状態で届くようになりました」。

 

写真(06)(本文用)

 

「ぶた肉の」講義は、モニターを使って熱が入ります。寺出さんら肉の目利き(仲卸)は、産地を訪ねたときに、買い付けする豚の親豚はもちろん、その祖父母の代まで確かめるそうです。

たとえば、よく耳にする『三元豚』とは、特徴のちがう3種類の豚をかけあわせてできた、品質の安定した肉のこと。それぞれの肉質のいいところをもちあわせた豚を生み出すには、別種の3種類を規定の順序で交配するといいます。日本では、ランドレース(L)、大ヨークシャー(W)、・デュロック(D)をかけあわせたLWDの三元豚が主流。

モニターには豚の種類が絵入りで映し出され、それぞれの特徴を示しながら、おいしい銘柄豚の成り立ちを説明。なかなか本格的なおはなしです。

 

「これは基礎知識です。まず知識がないと、よい肉を買い付けることはできません。また、買い出しにくる料理人さんたちも、知っておかなければならないことを知らないと、軽く見られてしまいます」。寺田さんは、たえずプロとプロのセッションが繰り広げられるところが築地だと話します。

 

ドカ~ンと用意されたブタ肉。手前から「メキシコ産の豚ロース」、近江屋牛肉店イチオシの「和豚もち豚ロース」、「鹿児島産黒豚のロース」

ドカ~ンと用意されたブタ肉。手前から「メキシコ産の豚ロース」、近江屋牛肉店イチオシの「和豚もち豚ロース」、「鹿児島産黒豚のロース」

 

 

写真(08)(本文用)

 

まずは、すべての肉を、下ごしらえをせずに焼いて食べ比べ。肉汁ジュワッで、どれもおいしい(笑)!

「近江屋牛肉店の肉なら、たとえメキシコ産の豚肉でも、そのままでイイに決まってますよね」と笑う小暮シェフ。たしかに~。

 

スーパーで買ってきた安価な冷凍肉や輸入肉などにこそ、効果の上がる料理のコツ「実践編」は、次回に~。(つづく)

Text : miho

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