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  • 2017/4/16 05:00:06

「オリーブオイルの魅力とその使い方」第21回「スペインのオリーブオイル事情」

航空写真(本文用)

 

前回は、イタリアのオリーブ事情をお話ししましたが、今回はスペイン。

 

ブランド力やマーケティングでは世界で圧倒的な力を持つイタリアですが、生産量においては世界一を誇るのが、スペイン。

スペイン全土でオリーブの栽培は行われていますが、なかでも最大の産地はアンダルシア州ハエン県。

ご覧の航空写真は、コルドバ上空の機内から撮影したものです。奈良の大仏さんの頭のようにポツポツ見えるのが、綺麗に植栽されたオリーブの木なんです。飛行機の窓越しに眺めていても、景色のはるかかなたまで、このオリーブの畑が続いているのがわかります。オリーブの森などというよりも、もはやこれはオリーブの海といった方が的確な表現です。

大規模農場と言えば、アメリカの小麦畑やブラジルのコーヒー園などを思い浮かべますが、ここハエンのオリーブ畑は、一つの町や村が丸ごとオリーブ畑になってしまった感じです。

 

メルガレホ(本文用)

 

そんなハエンでのオリーブ生産者の一人がこちら「メルガレホ」のオーナー。

どのくらいの面積の畑なのかと尋ねたところ

 

「ウチは家族経営だから小さいんだよ、900ヘクタールくらいかな。」

 

ちょっと待ってください、

日本のオリーブのメッカ小豆島と香川県全土を足してのオリーブの栽培面積は、ここ数年で頑張って増やしてきてやっとこさ150ヘクタールを超えてきたところ。その6倍もの面積を家族経営で行っているんですって?

スペインのオリーブ生産現場を象徴するようなお話です。イタリアでもオリーブ農家の栽培面積は標準的には5~20ヘクタール程度、最大のところでも50~70ヘクタールという規模感です。スペインのオリーブ生産は世界的にも並外れた規模感で行われているんです。

 

オリーブ街道1(本文用)

 

ハエンのオリーブオイル生産組合に車を進める道中、車窓を流れる景色はオリーブの木以外に何もありません。走っても走ってオリーブ畑しか見えない風景が延々と続きます。変化があるとすれば、樹齢が軽く200年は超えているであろう古木の畑と、最近改植してまだ若い木が多い畑が入り混じっているくらいのもの。どちらにせよ目に入る景色はオリーブ畑以外は視界に飛び込んでくることがありません。

 

オリーブ街道2(本文用)

 

30分走っても景色は変わりません。

 

オリーブ街道3(本文用)

 

こんな写真載せていたらいつまでたっても進まないので、ここらでやめておきます。

 

オレオエステパ(本文用)

 

到着したのはハエンでも大規模にオリーブオイルの生産を行っている「オレオ・エステパ」

こちらでは、各農家が運び込んでくるオリーブを大規模な搾油施設で大量に搾っているんです。

 

ステンレスタンク(本文用)

 

これは搾ったオイルを貯蔵するステンレス製タンク。その大きさがこれまたけた外れ。26万キロリットル、そんな単位のタンクは日本にはありません。

 

トラック(本文用)

 

こんな大きさのトラックで畑で収穫されたオリーブをせっせと運んできては、オイルを搾っていくんです。運ばれてきたオリーブの重量を量るのも、トラックごと。行きのトラックの重さと帰りの重さの差額で量るんです。

 

オリーブポリタンク(本文用)

 

なにしろ世界最大のオリーブオイル生産地、すべてにおいてスケール感が違います。搾ったオイルは、こんな立方体の容器に入れられて世界中に輸出されるんです。

 

技師二人(本文用)

 

スペインのハエン、オレオエステパに滞在中、ずっと一緒にいて説明してくれたのがこの若い二人の技術者。スペインやイタリアなんてラテンの人間って日本人からしたら、とっても陽気で、ややもすると少しばかりルーズなイメージあるかもしれませんが、この二人は、必要以上にシャイで、ある意味日本人以上にマジメでカタい二人。

 

曰く、スペインでも農薬を使うことの是非が最近になった急速に高まってきているんだそうです。でも、無農薬っていうのが現実的に無理だってことを受け入れた上で、減農薬を推奨しているのが実態なんだそうです。

 

トレーサビリティ(本文用)

 

これは、各農家から運ばれてきたオリーブの履歴を管理するための認証ツール。オリーブの実を運び込んだ各生産農家は、ここでそれぞれのIDカードをかざして、農薬散布や収穫方法の履歴をレコードすることになっています。

 

ハエン大学カフェ(本文用)

 

イタリアのレストランがそうであったように、ここオリーブの本場スペインでも、やっぱり本当に質の高いオリーブオイルに出会うことは、なかなか難しいものです。こちらはオリーブの品質対してとても厳格に管理をしようとしているハエン大学のキャンパス。

でも、そのキャンパスで提供されているオリーブオイルは

 

「あら?」

 

どうしてこんなことになっちゃってるでしょうかz?

ハエン大学の名誉教授のセバスチャン氏に問いかけても、あんまりそんなことには関心がないようで、学食のコーヒーを飲みながらのこの笑顔。

 

セバスチャン-1(本文用)

 

イタリアと同様、オリーブオイルと生活の歴史が私たち日本人と比べてはるかに長いスペイン人にとって、オリーブオイルの品質なんてものは、全く意識しないところなんでしょうね。おまけに、イタリア料理でのオリーブオイルの使い方と比べて、スペインでのオリーブオイルの使い方は、揚げ物に使うことが多いんです。

 

フリット(本文用)

 

こうなると、イタリア以上にオリーブオイルの品質に対する意識は低くなってしまって当然ですよね。

 

テイスティング風景(本文用)

 

こちらはハエンのオリーブオイル研究所でのオリーブオイルテイスティング現場。

地元のスペイン人の鑑定士に混じって鑑定をしたんですが、持ち込まれたオイルが明らかに「デフェットオイル」であることは、わたしたち日本人には、瞬間的に感知できるのですが、当のスペインの人にとっては結構な難題に感じるようです。

 

世界中のオリーブオイルが、少しばかり面倒なことになっていますが、世界最大の生産国であるスペインのオリーブオイル事情は、私たち消費者にとってみたら、とても気になるところですね。

 

次回は、そのあたりをもう少し詳しくレポートしましょう。

Text : Olive Hills

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