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  • 2017/3/17 05:00:42

築地「場外」市場はのこります(Report 43)『場外名物・ようこそ人情食堂へ 〜その③〜』

「築地でお寿司おごるよ!」って、平気で言えるお店があります。「すっごいネタが新鮮でうまいから」と、おサイフを気にせず胸を張れます。おかげでランチタイムは行列覚悟なので、私がうかがうのは午前11時頃に朝ごはんヌキで。それこそ、知っている人には場外の超有名店でもある路地裏の小さな名店「築地 本種(もとたね)」(築地6-25-4)。ふところも、心もポッカポカ~な、とっておきの店を紹介します。

 

写真(01)(本文用)

どっか~ん、キトッキトに輝く新鮮ネタのちらし寿司(正式名称は『丸ちらし』)が900円! 税込みです。お札を出せばコロンと100円玉が返ってきます。

いきなりコスパでお寿司を語るなんて野暮ですが、マグロは赤身に中トロに、とろ~りネギトロ。イカ、プリッとホタテ、エビ……「10種はノってますね」と、カウンター越しに声をかける私。ここでは、まるでオッサンのようなおばさんになっちゃいます。それほど、太っ腹になれる、気の置けない店なんです。豪華すぎるでしょう、900円ですよ!

 

写真(02)(本文用)

「いつもと同じだよ。白身以外は、ほとんど変わらないからね」と、大将。

私は笑顔のかわいい(←失礼をスミマセン)ほがらか大将のファンです。店の奥のテーブルでは朝から市場で働く方々が飲んでいます。皆さん勝手知ったるという感じで、ほかのお客さんから注文を取ったりお酒をテーブルに運んだり。大将と常連さんの掛け合いが、また楽しい。

 

写真(03)(本文用)

玉子焼きは自家製。ふ~んわりやわらか。毎朝、大将が焼いてます。朝5時に買い出しをしてきて、ご飯を炊いて、魚をさばいて……。「味噌汁は魚の頭をかち割って、アラで出汁をとってさ」と。せっせと手を動かしながらの、大将のお話。ほっぺとお腹がワクワクしてきます。カウンターには、ちょくちょく奥さんがいらっしゃいますが、調理は全部お一人でやってらっしゃるとのこと。

「築地に来てからは16年になるかなぁ~。最初はめし屋だったの。この店構えでしょ、寿司屋とは、とても言えないから……」。

 

なつかしい墨文字の看板が並ぶ築地6丁目界隈

なつかしい墨文字の看板が並ぶ築地6丁目界隈

そういえば、私の好きな築地場外“人情食堂”は、ほとんど勝どき橋寄りにあります。昭和の雰囲気が色濃く残る築地の端っこです。ごったがえす観光客の喧騒を離れて、路地裏探検をしてみませんか?

 

写真(05)(本文用)

波除神社方面から晴海通りに続く、せまい路地を入ると……

 

写真(06)(本文用)

シマシマのビニールのひさしに「本種」のちょうちん。目印はこれだけ。

 

写真(07)(本文用)

レトロな店構えをあなどることなかれ。昼めしどきには、ここにぐるーっと行列ができる人気店なのだ。順番待ちの人のために用意された紅白の椅子にキュンとします。今となっては昭和のひなびた風情が、かえって「おいしい」の看板に。

 

写真(08)(本文用)

店名の「本種」とは、どういう意味なのでしょう?

なんと大将の名字でした。「めずらしい名字だから、悪いことしたら、すぐ顔がわかっちゃうよねぇ、もともとは兵庫に多いみたいだよ」。

築地でスタートしたときには、ちがう店名だったそう。わが名を店名に掲げたのは、寿司を握っていくぞ!の心意気のあらわれかも!? カッコイイ。

「寿司屋はたいへんなんだよー。流行らないと魚が古くなって、そんなものを出したら、ますますお客さんは来てくれないでしょう」……きっと、ご苦労も多かったことでしょう。しかし、料理一筋半世紀、魚には一切妥協なし!とのこと。

今では毎朝、自分の目で魚を選び、いい魚が入れば使ってほしいとすすめられるまでに。超新鮮ネタてんこ盛りの寿司が、もうけ度外視で出されるのだ!

 

写真(09)(本文用)

ランチのラインナップは名物「丸ちらし」のほか、にぎりは一人前1,000円、1.5人前1500円、ねぎとろ丼(1,000円)にボリュウム満点の刺身定食(1,200円)も人気があります。ね、誰かにおごってあげたくなるでしょう。

 

写真(10)(本文用)

ねじり鉢巻きキリッが、トレードマークの大将・本種さん。「昔は、お客さんといっしょにここで毎晩飲んじゃってさー」と、ホントほがらか~。築地という土地で、魚をさわっているのがうれしくてたまらない、という感じです。

大鍋では、アラの味噌汁がホワホワいい香りの湯気をたてています。

 

写真(11)(本文用)

出汁のきいた味噌汁は、魚の身もたっぷり入っていて、やさしいお味です。

 

写真(12)(本文用)

ランチだけではなく、ヨルもおいしい魚が食べられそう!

メニューは4,000円の、コースのみ。

「でも、最近は予約が入らないと夜は開けてないよ。一人でつくっているでしょ、毎晩開けるのはたいへんになってきてさー。そうだね、お客さん3人集まったら、店を開けるかな?」

たった3人で、いいのですか?

……お手伝いしますよ~。できたら、大将といっしょに飲みたいです!

春の宴会に、友だちを誘いたくなりました。(おしまい)

Text : miho

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