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  • 2017/3/3 05:00:15

築地「場外」市場はのこります(Report 41)『場外名物・ようこそ人情食堂へ 〜その①〜』

「築地」は、東京でも集客数5本の指に入るというビッグな観光地。テレビクルーが、連日駆け回っています。ロケを見かけるたびに、「アタシは巷の主婦目線でやるわ」なんて、ひとりよがりのルポを敢行してきましたが、いいもんは、やっぱりいい! ひょっこり入って、お腹はもちろん心もポカポカ満たされた、昔ながらの名物食堂を3回にわたって紹介します。

 

1(本文用)

 コーヒー&スパゲッティー『フォーシーズン』(築地4-14-4)は雑居ビルの2階にあります。見上げた青いファザードに「4SEASON」の英文字を発見したときには、ようやく…と胸をなでおろすくらい、見つかりにくい場所。しかーし、このお店、テレビや雑誌に何回も取り上げられている、場外市場の名物食堂。かのマツコさまも食レポに来訪されたことがある有名店です。

薄曇りのこの日……朝10時過ぎに前を通りすぎると、あら、階段の踊り場に人影なし。めずらしく行列がありません。ちょうどランチタイム前、かつ場内市場で働く皆さんが一服し終えて帰ったあとのエアポケットタイムだったよう。

 

入り口ドアは紺色のペイントにオレンジと赤のストライプ……斬新、というよりモダーンという表現がぴったり

入り口ドアは紺色のペイントにオレンジと赤のストライプ……斬新、というよりモダーンという表現がぴったり

ラッキー! 人一倍ミーハーなアタシですもん、ホントはずーっと入ってみたかった『フォーシーズン』!

ちょうど「築地に行ってみたい」という友人連れだったので、ここぞとばかり「場外の、超有名店よ~」と、小鼻をふくらまして、階段を上りました。

 

3(本文用)

「なつかしい!」中に入ったとたん、友人と、思わず顔を見合わせたのは「♪ゆ~きーがー、ふーる、アナタは来ない…」って、昭和歌謡が大音量で流れていたせいではありません。

お客さんのいない店内は、ものすごく清潔! カウンターも、ビニール張りの椅子と一本足のテーブルまわりも……磨きあけられていて、まぶしいほど。

ニスをかけたようなツヤツヤの緑色に塗られた壁も、朝から電飾がチカチカ光っている窓も、折りたたまれてきっちりと重ねられたスポーツ新聞も、レトロ……というより、昭和の主婦が固く絞った布巾でキュッキュッと吹き上げたような、折り目正しい清潔感で満ちています。

 

4(本文用)

調味料やタバスコが整えられたテーブルの上。昭和っぽい食堂なので、喫煙可。置いてある灰皿の模様はそろっていて、ほかにグリーンのドットもありました。「水玉、かわいいね。こういうホーロー鍋とか、昔、うちの台所にはあったよね」……昭和のコドモには、すべてが、キューン。

BGMがZARDの『負けないで』に変わりました。

注文を取りに来たママさんに「BGMは有線なんですか?」と、思わず質問。

すると、急にママの顔がなごんで「全部、マスターが選んでいるの」。

「いい選曲だねぇって、一曲聞き終えてから帰る人も多いのよ」と。

……なんだか、いいなぁ。BGMは西城秀樹の「ブルースカイブルー」に。おっと、いけない、なんで、すぐに曲名がパっと浮かんでしまうのだ!?

 

5(本文用)

曲がかかるたびに、思わず遠い目をしてしまいます。そのBGMのリズムを取るように、カウンターから、カシャンカシャンと軽やかな調理器具の音がしてきました。

のぞくと、マスターが中華鍋を振っています。スパゲッティーは、あらかじめ茹でてあって、それを、具材とともに炒めています。

しかも、ひとり分ずつ!

むかし、むかしのスパゲッティー、みんな、こうやって作ってもらってた……香ばしい湯気とともに、こんどは鼻の奥がジンワリ。

手早く大きな中華鍋を笑顔で振るマスター。

「ぜったい、おいしい!」と確信!

 

6(本文用)

「はーい、なつかしい味のナポリタンよ~」、アツアツのナポリタン(780円 税込)が運ばれてきました。

背後では、つぎのスパゲッティーを炒める音。どんなに忙しいときにでも、マスターが、一人分ずつ、ていねいに……。

 

7(本文用)

昔ながらのハズなんですが、こちらのナポリタンには、プリップリのエビが! 友人は、「イカもゴロゴロ入ってるよー」と大喜び。さすが築地です。

「わたしたちって、ケチャップ味で育ってきたよねー」なんて、しみじみ。タイミングよくBGMはオフコースの「言葉にできない」(笑)。

 

8(本文用)

見てください! 私がたのんだ「和風スパゲッティー」(870円 税込)。中身が見えない大量のシソ!刻み海苔もた~っぷりの贅沢な味わい。

サラダの野菜の千切りも、シソも……そのこまやかさ、繊細な切り口にほれぼれ。マスターの職人気質が、伝わってまいります。

 

パスタの量も半端ありません。ボリューム&愛情たっぷり。

パスタの量も半端ありません。ボリューム&愛情たっぷり。

シソをかき分けると、キノコやウィンナー。香ばしいしょうゆ味のスパゲッティーに、土曜日の家ランチの、当時ハイカラに思えた、おふくろの味を思い出したりします。

「そういえば、小学校は土曜日も休みではなかったよねぇ」……同世代(とくに昭和ドップリな)友人と一緒に行くと、ほんとココ、盛り上がりますよ~!

 

10(本文用)

ママさんが食後のコーヒー(食事とセットで150円 税込)を運んできてくれました。

「おいしかったー」と、お腹をさすると、

「うちの一番人気はナポリタン!二番は、和風スパゲッティーよ。ふたりとも、選ぶのがじょうずねぇ」と。

……「じょうずねぇ」。なんて素敵なほめ言葉なのでしょう。

このお店が、こ~んなにも心地よくて、涙ぐむほど幸せだったのは、何かにつけて声掛けをしてくれたママのお人柄。

「お忙しいですよね、」と声をかけると、「もう35年、続けているのよ。でも、テレビとか出ちゃったあとは疲れが出て寝込んでしまったこともあるの。若いときには、そんなこと、まったくなかったんだけれどねぇ……」。

ぐぐぐっ。

お忙しくないときを選んで、また来ます!

人情食堂……築地の場外は、人が温かい。やっぱりココロが洗われる場所だと思います。

帰りぎわのBGMは「出逢った頃のように」(Every Little Thing)でした(おしまい)。

Text : miho

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