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  • 2017/3/2 05:00:39

<本のご紹介> 子ども食堂をつくろう!〜人がつながる地域の居場所づくり

今回は、「子ども食堂」について書かれた本をご紹介します。

 

「子ども食堂をつくろう!人がつながる地域の居場所づくり」(NPO法人豊島WAKUWAKUネットワーク編著・明石書店刊)

「子ども食堂をつくろう!人がつながる地域の居場所づくり」(NPO法人豊島WAKUWAKUネットワーク編著・明石書店刊)

 

2011年に、国が子どもの貧困率を初めて公表して以来状況は年々悪化し、現在、日本では6人に1人の子どもが「相対的貧困」であるといわれています。

着るものも食べるものも足りていない「絶対的貧困」は、外部の人の目に触れる機会がありますが、相対的貧困は周りに気づかれにくいことが大きな問題だといいます。それなりに着る物もあり、住むところもある。携帯電話も持っている。しかし、家に帰ればご飯を作ってくれたり、話し相手になってくれたりする家族がなく、ひとりテレビの前でお菓子だけで食事を済ます。そして、進学や将来の夢を描くことができない、というような状況で暮らしている子どもたちが実はたくさんいるのです。

 

そんな子どもたちに、まず「食」をきっかけに手を差しのべようという試みが「子ども食堂」です。子ども食堂に明確な定義はありませんが、地域の人たちの協力で設立、維持されている施設で、子どもたちが無料または定額でしっかりとした手作りのごはんが食べられる場所のことです。食事以外にも、勉強をしたり、遊んだり、悩みを相談したりできるところもあります。また、子どもだけでなく、親たちも利用できます。こうした子ども食堂の取り組みが今、全国に広まっているのです

 

著者のNPO法人豊島WAKUWAKUネットワークの理事長である栗林千恵子さんは、ある1人の子のSOSをキャッチしたことをきっかけに、子ども食堂を立ち上げました。家に帰ると一人ぼっちである少年を自分の家に呼び、勉強を教えたり、一緒にごはんを食べたりするようにしたのです。栗林さんはそんな自分を「おせっかい」だといいます。しかし実はこの「おせっかい」が重要なのだそうです。子どもたちは、幼いころから続く自分の生活の状況を自分でおかしいと感じることはできないため、助けを求めることもできない。だからあえて周りがおせっかいすることが必要なのだそうです。

 

おせっかいな人のおかげで、子どもたちのお母さんやお父さんも次第に生活の不安を相談するようになり、子ども食堂は、みんなで解決していく場になっていきます。

この本には、そうした施設に育つまでの経緯と、実際にどのようにすれば子ども食堂を作ることができるかというノウハウが、具体的に紹介されています。

 

施設を立ち上げるとなると、私たちはすぐにいろいろな問題を自分で目の前にかかげてしまいます。資金は? 数値目標は? 将来のビジョンは? 自治体からの助成金は? 専門家の意見は? 何かあったときの責任は? などなど。子ども食堂を立ち上げるに当たって最も重要なことは、そうした問題はまず横に置いておいて、「まずやってみる」ということだと、この本には書かれています。目の前に一人でおなかをすかせている子がいたら、うちのご飯を少し多めに作って一緒に食べようと誘う。そんな気楽さでやろうと提案しています。そうした安易さを批判する人たちももちろんいます。そんななか、まず目の前の子どものお腹を満たそうと立ち上がった人たちの記録がこの本なのです。

 

きちんとした食事がとれて勉強ができ、話す人がいるということで、どれだけの子どもたちが救われることでしょう。そうした環境があって初めて、将来の夢を抱くことができるのではないでしょうか。

きちんとした食事をとることが、そのまま子どもや国の未来を育むことに直結しているのだと考えさせられる本です。

 

anatanomachi(本文用)

巻末には、「あなたの街の子ども食堂」の一覧も付いています。ボランティアとして参加してみたい方、利用を考える方にも役立ちます。ご一読ください。

Text : harumi

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