• レビュー
  • 2016/12/29 12:00:47

<書評> 身近な食物から好奇心を育む本

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『続・サイエンス小話』 中西載慶・著(東京農大出版会)1380円+税

 

食に関わるあらゆること、例えば料理はもちろんですが、農業、漁業、輸送、保存、加工など、これらに興味が湧けば湧くほど、その知見や技術の科学的な裏付けも知りたくなるのではないでしょうか。長い年月をかけてつちかわれた食を科学の視点でひも解くと、とても面白いものですよね。

 

今回ご紹介する「続・サイエンス小話」は、このような食にまつわる科学に興味を持つ皆さんに、ぜひお読みいただきたい一冊です。

 

著者の中西載慶(ことよし)先生は東京農業大学の名誉教授で、応用微生物学、バイオプロセス学がご専門です。数々の大学や日本のワイナリーなどで研究を続けてきた、発酵・醸造に関する研究の第一人者でもあります。

中西先生は、身近な食生活のなかから、誰もが興味や疑問を持つ話題をわかりやすく解説する名人です。化学式がわからなくても大丈夫。そのあたりも考慮して誰にでもわかるように解説をしてくださいます。読み終わった後には「ああ、あれはこういうことだったのか」と納得し、毎日の食生活に生かすことができます。まさに「実学」となる内容なのです。

 

一つ具体的にご紹介しましょう。第5章の「蜂蜜は花の蜜にあらず」というトピックからの要約です。

 

「蜂蜜」と聞くと、私たちは「蜂が花から集めてきた蜜」そのものであると思っていますが、実はそう単純なものではありません。花の蜜は蜂の唾液に含まれる酵素によって分解され、砂糖からブドウ糖と果糖に分解されます。はちみつはそれらの混合液を、さらに水分を飛ばして濃縮したものなのです。

 

いかがでしょう。ご存じでしたでしょうか。こうしたことを知っていると、蜂蜜を少しちがった形で見ることができませんか?

この本の中では、他にも以下のような疑問に答えてくれています。どれもぜひ知っておきたいことばかりです。

みなさんはどのくらいわかりますか?

 

  • パンはなぜ強力粉で作るの?
  • ぬか床はなぜかきまぜるの?
  • 子どもが酸味や苦味を苦手なのはなぜでしょう?
  • 渋柿を干すとなぜ甘くなるの?
  • 酒造りのときに「米を磨く」のはなんのため?

 

これはほんの一部ですが、こうしたトピックスがそれぞれ4ページほどのエッセイとしてまとめられているので、パラパラめくって興味のあるところから気軽に読むことができます。また、必要なところだけを読んで、あいまいだった知識を確認するのにも役立つでしょう。とにかく読み終わったあと、誰かに話したくなるような内容ばかりです。

 

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なお、こちらの本は「続編」となっておりますが、以前に発行された「サイエンス小話—身近な物質から好奇心を育てる本—」(中西載慶・著/東京農大出版会)もおすすめです。

 

この本を読んで中西先生のお話しを直接聞いて見たいと思われた方は、東京農業大学の東京農大エクステンションセンター主催の「東京農大オープンカレッジ」で、先生の講座を受講することができます。開催予定は以下のページでご確認ください。

東京農大エクステンションセンター

http://www.nodai.ac.jp/general/learn/extension/

Text : harumi

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