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  • 2016/10/16 05:00:05

大阪 堺の包丁屋さんから"包丁"について学ぶ

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10月8日(土)9日(日)の二日間に亘り、東京ミッドタウン(六本木)の「THE COVER NIPPON」で『堺刃物実演イベント』が開催されました。
講師は、大阪 堺の包丁メーカー"堺刀司" (株) 和泉利器製作所の信田尚男専務です。
お話の内容の興味深さもさることながら、信田さんの関西弁は参加者の心をぐっと掴みます。

堺刃物 実演イベント

堺刃物 実演イベント

東京ミッドタウン「THE COVER NIPPON」

東京ミッドタウン「THE COVER NIPPON」

▶︎日本の包丁の起源は?

信田:包丁はなんで堺が有名か?堺の包丁って有名って知ってはる人。知ってます?知らないですかね。なぜこれが堺の包丁が有名になったかっていうとね、古墳。古墳ですよ。仁徳天皇陵って鍵穴のような形のお墓がありますよね。あれがまあ、一応世界一大きいお墓とされてるんですけど。そのお墓を作るのにだいたい17年から18年ぐらいかかったんですよ。そのときに仁徳天皇っていう天皇さんが来て、俺の墓を作る!と言ってはるんです。その時にやっぱしこういった金属を加工して、今でいうスコップとかショベルとかいりますので、そのときに使うのが、これなんですね(と昔の鍬(くわ)を手に取る)。

包丁の起源は「鋤」などの工具だった。

包丁の起源は「鍬(くわ)や鋤(すき)」などの工具でした。

後ろに木の棒がついて、牛に引っ張らしてずっと土をおこして堀を作っていくわけなんです。その堀ができていくうちに、金属なんですり減っていきますよね。すり減ってきたら鋤(すき)と鍬(くわ)、最後は捨ててしまう。関西弁でほかすって言うんですけどね。その頃は4本足の動物、牛とか馬は食べてはよくはないと言われてたんですけど、食べたらおいしいっていうのがわかったんですね。すり減った鍬とか鋤とかを捨ててしまうときに、この上でお肉を焼いたから"すき焼き"と言われたという説があったんです。
で、そのまま17年も18年も進んでいけば、結局は結婚もして子供も作って生活になってくる。と今度は包丁作りがはじまってきて。古墳づくりが包丁づくりの最初のきっかけとなったんです。

「たばこ包丁」も起源の一つ。

「たばこ包丁」も起源の一つですね。

で、その次にきっかけなるのがこれなんです。これって何かな?(両側に取手のある刃物を見せる)、なかなか答えはね。これもね、たべもんではないんですよ、切るのは。スコップの代わりに鋤や鍬って作ったんですけど、これも今でいうとややこしいことになると思うんですけど郵政も民営化になったりしましたよね。で、昔は国鉄もJR、電電公社も今はNTT、になったりとか。全部そうなってくるとJT、日本専売公社。これタバコの葉っぱをきざむときに使う包丁なんです。昔は巻煙草ではなくてキセル、刻んで吸うたばこだったんです。その刻むための包丁はどこがつくるんがうまいやろう、上手につくれるんかっていうことで堺の7つの町、大阪の関西空港のちょっと上、岸和田のだんじりのちょっと上らへんですよね。その辺に堺っていう、今さっきの仁徳天皇陵のあるところの堺の七町だけが幕府から許されて、たばこ切り包丁を作り始めた。だから最初からいきなり食文化の話ではなかったんですね。最初はこういった道具からはじまってはりました。

▶︎関西と関東の包丁の違いは?

信田:そうやって、包丁づくりがはじまるんですけど、えっとですね、そしたら関西と関東の包丁の違いなんですけどね、はい。これ、なにに使う包丁でしょうか?そう、刺し身包丁。

包丁は、関西と関東で形が違います。

包丁は、関西と関東で形が違います。

どっちが関西?関東?。
ああ、こっちが東京(※写真の向かって左の包丁)。"たこひき"って言います。なんでたこひきって言うかっていったら、昔は江戸前の寿司っていうのは、座って刺身をひくことがあったんで、こういった"そり"(※写真右の包丁のそり)がなかったんですね。こういうふうに。まっすぐ引いて切ると。で、なおかつタコの皮って案外ひっかかっちゃうんで、あの、先をこう、まっすぐにして作って。で、たこひきっていう包丁の名前がつきました。こちらは関西で使う柳葉とか菖蒲とも言います。まあ、葉っぱがね、菖蒲の葉に、柳の葉に似てたっていうことで刺し身包丁っていう形になったんですけども。

▶︎この後、信田さんのお話は「すし」の漢字ついて、様々な用途の包丁について、と広がっていきます。

「すし」の漢字はいくつご存知ですか?

「すし」の漢字はいくつご存知ですか?

信田:あの、ここで寿司っていう漢字ってなにがありますか?ああ、そうですね。寿の司。これは京都。都が昔あったっていう名残でこの寿というのと司がついた、という感じでこういった形であったと。もう一個あるんですね。魚編に作るの右半分。えっとね。これ。(鮓)これもいったら、僕が聞いた話では関西は言うたら木で作って箱ずしってありますよね。だから、つくるっていう漢字のこちらだけとってこうなったんですよ。で、聞いた話では大阪より東京の江戸前寿司のほうがおいしい、うまいんやっていう形でこのうまいっていう言葉がついたと(鮨)。ということは聞いたことあるんですけど。ほんまかどうか、ちょっとこれわからんですけど。

▶︎菜切り包丁にも関東関西の違いが。包丁だけでなく、うなぎに使う目打ち、おろし金、銅の卵焼きなどの調理器具にも大阪、京都、東京、名古屋とそれぞれ形や使い方に特徴があるそうです。

▶︎ハモの骨切り、うなぎ裂き、スイカ包丁、餅切り、かまぼこ包丁、マグロ包丁、寿司切り包丁、豆腐包丁などなど、実物を見せながらの説明は、とても分かりやすいものです。

豆腐包丁

豆腐包丁

用途別に様々な包丁があります。

用途別に様々な包丁があります。

堺刃物

堺刃物

信田:うなぎ、なんですけども。うなぎの包丁って全部で、こんだけ、あるんですよ。これうなぎの。どこがどことか思います?これ全部うなぎなんですよ。これもです。これも。これ全部うなぎをさばくときの。これがね、あの、江戸裂きで東京。関西と関東と大阪のさばきかたも違うんで、使われてるかたはもう知ってはると思うんですけど、背開きと腹開き。関東は切腹が嫌というかたちで背開きとなって。大阪は商売やから腹わってっていう部分でそういった一説があるんですけども、そういった形でね、これ背開きなんでこっから背を入れて切っていく。これがうなぎさきの関東型、江戸裂き。これがどじょう、どじょうの小さい、あの、やつですね。こちらが名古屋、名古屋裂き。これが京都の京裂き。後ろは金槌になっているのでこの目打ちを打ちます。

「目打ち」も関西と関東では違います。

「目打ち」も関西と関東では違います。

お魚が動かないために目打ち、この目打ちのときにも江戸、で、名古屋、大阪、と。目打ちも形もちょっとづつ変わりますけど。で、最後はこれ、九州裂き。これが九州の形の。九州裂きという形でね、あの、こういった形にね、全部産地によって、包丁の魚のさばき方も違うし、形も変わってくるという話をさしてもらったんですけど。

銅の玉子焼き。 形も焼き方も地域で異なります。

銅の玉子焼き。
形も焼き方も地域で異なります。

おろし金

おろし金

信田:ここまででなにか聞きたいこととかありますでしょうかね。なんか包丁でここ知らないんやけどここ聞きたいとかいうことは。ないですかね。なければあとね、ちょっと話さしてもらったらね。あとはね、道具もちょっと違うんですよ。これもだし巻き玉子なんですけど、東京と大阪と名古屋、違うんです。これが江戸、東京型のだし巻きたまご、正方形。それとともなったおろし金もまっすぐなんですね。はい、これおろし金、もまっすぐなんです。正方形。で、これが大阪なんです。京都もあるんですけど京都はもうちょっと細長い、だし巻き玉子なんです。だし巻き玉子も京都と大阪では巻き方違うんです。京都はこういうふうに巻いてて大阪はこういうふうに巻いていくんです。巻き方がちょっとね、若干。京都と大阪の中でもちょっと違うんですよね。で、あとは名古屋。名古屋はもうほとんど使うことはないんですけど横巻きなんです。ちょっとね、名古屋の方、巻き方が違うっていう形で、こういった形で東京と大阪の違いをちょっと話さしてもらったんですけどここまでね。

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信田:あの包丁って基本的に片刃と両刃があるの、ご存知ですか?あの、包丁っていうのは全部片刃か両刃かどっちかになってます。で、これを見てもらったら、わかりやすいのが、こっちがね、しのぎっていう。刀でもしのぎを削るとかいいますよね。だから鞘とかありますよね。こういうさや。あいつら別れてまた元に戻ったなって"元鞘"っていいますよね。刀もそうなんですけど鞘っていうのは、一本一本オーダーメイドで作ってるんで、ちがう鞘だと入らないんですよね。だから元の鞘に戻るという。刀のことってよう言う、鍔迫り合いとかね、あれもいろいろ刀の言葉からいろいろ、そういったことが使われるんですけど、こちら、しのぎがついているやつ、これは右利き用です。こちらついてない。なにもついてないですね。これが、片刃包丁。で、両刃包丁っていうのは、こういった。おんなじ模様が両方とも入ってますよね。作り方としては、これ両刃っていうのはホットドッグみたいになってるんです。これ、人間も体と、背骨と体が筋肉によって立ってるのと一緒で、これはやらかい軟鉄っていって、固い刃がなかなか折れないためにこの軟鉄が守ってくれてるんです。で、このなんてつを、これ鋼、これが切れる材料、これをここに入れて、ここの間にはさまって。まあ、ホットドッグのウインナーみたいですけど。で、形を作っていくという形です。

鋼と軟鉄を合わせて包丁に仕上げます。

鋼と軟鉄を合わせて包丁に仕上げます。

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鋼を軟鉄で挟んでホットドッグ状にします。

鋼を軟鉄で挟んでホットドッグ状にします。

信田:で、とぎ方。包丁のね、とぎかたっていうのが一番大事なことやろうとは思うんですけど、両刃の場合、こういった包丁、両刃になってるんですけど、これね、角度、寝かせれば寝かせるほど刃は鋭利になってきます。立てれば立てるほど刃は鈍角に。で、あの、これだいたい今砥石が荒砥石ってやつ使ってるんですけども、刃がかけたりとかしたときにこれを使うが一番便利です。で、なければ、普通にある中砥石。で、砥石もね、ある程度ブランドのもの買ってもらった方がいい、ブランドっていうかきっちりしたとこで買ってほしいんです。で、よく、ご存知かな、砥石って番手ってわかります?400番とか1000番。それ一点の中に千粒あるんか400粒おるんか。その粒が。数字が少ないほど荒いと。だからこの砥石って僕がとげば、すごいじゃりじゃり感の音がでるんですよね。ね。けど仕上げになればなるほどだんだんだんだん細かくなるんで音は小さくなる。

包丁研ぎの実演も。

包丁研ぎの実演も。

篠田さんのお話は楽しくて、知らないことが多く、参加者の皆さんは大いに満足された様子です。講座の終わった後も、皆さん興味が尽きないようで、質問や相談が続いていました。とても有意義な時間でした。

熱心な質問が続きます。

熱心な質問が続きます。

色々な包丁の感触を確かめてから購入される方が多かったです。

色々な包丁の感触を確かめてから購入される方が多かったです。

講座を聞いて、包丁に対する興味がさらに湧いたようです。

講座を聞いて、包丁に対する興味がさらに湧いたようです。

"堺刀司 (株) 和泉利器製作所" http://www.sakai-tohji.co.jp

堺刀司

堺刀司

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"THE COVER NIPPON" http://www.thecovernippon.jp

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日本の伝統工芸を広く紹介しています。

日本の伝統工芸を広く紹介しています。

日本人も外国人もたくさん来店しています。

日本人も外国人もたくさん来店しています。

Text : tohru

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