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  • 2016/10/11 05:00:25

「オリーブオイルの魅力とその使い方」第8回「ペペロンチーノにオリーブオイルは合わない?」

こちらのコラムで基本のパスタとしてペペロンチーノが紹介されています。ペペロンチーノって、パスタソースの基本であるオイルとダシを一体化させる「乳化」をいかに作ってあげられるかを試される、ある意味とっても難しいパスタです。

 

いろんな条件がありますが、大きくは二つあると考えています。

 

一つはパスタの質。オイルと水分がしっかりつながって乳化するためにはある程度のデンプン質が必要。でんぷん質がパスタの茹で汁に溶け出すためには、パスタの製造過程で「ブロンズダイス」を使うことが必要となります。

ダイスというのは、パスタを押し出すときの「型」のことですが、ブロンズ、すなわち真鍮を使うものと、テフロンとに分かれます。

テフロンを使った製品の代表選手がバリラ社製のパスタ、表面がつるっとなめらかになっています。

一方、ブロンズを使った製品の代表選手がディチェコ社製のパスタ、表面がザラついた感じです。

 

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こちらがブロンズダイス。

 

ブロンズダイスを使ったパスタの方が、麺とソースの馴染みがよく、小麦粉本来の風味も強く感じることができるため、プロの飲食店ではこちらを使うケースが多いようです。

ただし、ゆで時間を間違えたり、ソースとのタイミングが合わないと、表面が崩れ出してぼそぼそしたパスタになってしまうことがあります。

 

これに対してテフロンダイスで作ったパスタは、多少ゆで時間を過ぎたり、ソースを作るのに手間取っても伸びにくい性質があるため、一般家庭では使いやすいものとなります。

 

ところが、ペペロンチーノを作るとなると、テフロンダイスでのパスタは全く歯が立ちません。溶け出すデンプン質が少なく、乳化させるのがとても難しくなってしまうんです。

 

これを避けるために、できるだけ少ないお湯でゆでることをこちらのコラムでは紹介していますが、わたしたちはもっと極端にお湯を少なくする手法を取ります。

 

最初に、オイルでニンニクと唐辛子を熱したら、そのフライパンに直接水を200cc程度入れ、そこに1人前のパスタ80gを投入して弱火でゆでていきます。お湯が干上がる直前くらいになると、大体ちょうどいい加減にパスタが茹で上がります。茹で上がりそうなのにまだ水が多いときは、お湯を捨てたり火力を上げたり、まだ茹で上がってないのに水がなくなりそうな時は水を足したりして調節しながらベストの茹で具合に持っていきます。

そして、完成の直前にオリーブオイルを回してやると、ほぼ失敗なく乳化してくれます。なぜなら、ゆで汁がとっても濃いデンプン質になってるからです。

 

そして、乳化のためにもう一つ大事なことが、オリーブオイルの品質。

 

わたくしどもが提供する高品質なオリーブオイルは、「飲めるオイル」という表現をします。すなわち、直接舌に触れてもとても口どけが良く、サラッとしているんです。これは、植物性油脂に限ったことではなく、バターやヘット(牛脂)でも、高品質なものはとても口どけがいいものです。

口どけがいいというのは、いつまでも舌に残らない、すなわち口のなかで水分となじんで乳化するということなんです。

同じオリーブオイルでも、高品質なものとそうでないものでドレッシングを作って比較すると、その乳化スピードの違いがはっきりわかります。高品質なオリーブはあっという間に乳化しますが、そうでないものはいつまでも水と油が分離したままでいます。

 

美味しいペペロンチーノを作るポイントは、二つ、ブロンズダイスのパスタを使うことと、そして、良質なオリーブを使うこと。

 

でも、今日のテーマはちょっと違ったところにあります。

 

「ぺぺロンチーノにオリーブオイルは合わない?」

 

これに対する実証です。

 

数あるパスタの中でも美味しく作るのが最も難しいペペロンチーノ、そしてイタリアンの真骨頂であるこの料理に実はオリーブオイルが合わないという衝撃的なキャッチコピーで売り出されている本があるそうです。

 

フレンチだろうが中華だろうが和食だろうが、なんでもかんでもオリーブオイルで作ってしまうオリーブヒルズ、ちょっと試したくなってしまいました。

 

用意したのは、パルシー社の誇るオリーブオイル「リナシメント」こちらはドリッタ種100%を超早摘みすることでで、スパイシーな辛みとさわやかな青リンゴの香りを持ち味としたパルシー社の最高峰ブランド。

 

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そして、もう一つのオイルは・・・

 

あ、ごめんなさい、ネタばれになってしまうので、ここではお伝えできませんが、高い品質で料理界からも信頼されている植物性油脂を製造する製油会社のオイルです。

 

今回はオイルの特性の違いをより際立たせるために、ニンニクの香りや唐辛子の辛みはできるだけ最小限に抑えることにしました。なので、ニンニクは潰しただけの大きめをゴロリンと、唐辛子もあまり辛さが出すぎる前に、油から引き上げることにしました。

 

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最初に加熱するオイルを、一つのフライパンにはオリーブオイル、もう一つのフライパンには別の植物性油脂としただけで、あとの条件は全く同じにして同時進行。

 

茹で上がったパスタをそれぞれのフライパンでゆで汁を加えながら、手早くかき混ぜたら仕上げにオリーブオイルで香り付けして、さらに乳化させます。

 

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こっちがオリーブオイルだけで拵えたペペロンチーノ。

 

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見た目は全く変わりませんね(^^;

 

さて、いよいよ試食です。審査員はわたくしどもの家人一同。

 

審査員A(49歳):○油に軍配、○油のほんのりした香ばしさが美味しい。

審査員B(17歳):オリーブオイルに軍配、すっきりして口どけがいい。

審査員C(50歳):あんまり差はないけど、オリーブオイル、サラッとして香りがさわやか。

 

どっちが美味しいかということは実は今回あんまり気にしていなかったんです。

 

論点は、オリーブオイルは加熱によって、いやな苦みやだけが残るので加熱時には○油がいい、という本の著者の主張に対して、それが本当だろうかということを実験してみたかったんです。

 

結果として、オリーブオイルを加熱することによって、悪い香りが残るかというと、そんなことは全くなく、すっきりしたオリーブオイルとしての性質は最後まで保持されていました。もちろん、エクストラバージンオリーブオイルの特有の、さわやかでフレッシュな香りは高温での加熱によって失われるため、仕上げに回しかけることによって補ってあげる必要がありますが、少なくとも加熱により悪い香りが出ることは全くありませんでした。

 

今回、なんか意地悪くこんな実験しましたが、実はわたくしたちにとって結果はすでに分かっていました。

何故ならわたくしたちは普段から180℃~190℃の高温による天ぷら調理をオリーブオイルで行っており、その過程でオリーブオイルが嫌な香りを出すことはないことは知っていたからです。

 

では、なぜその本の中で著者が、ペペロンチーノの加熱にオリーブオイル以外のオイルを推奨するようなことが行われたんでしょうか?

 

良質なオリーブオイルを使うかどうかがポイントなんです。

 

植物油の発煙点はそれぞれのオイルの種類によって違い、オリーブオイルは190℃~204℃と言われています。その温度帯に差があるのは、オリーブの酸度によるからなんです。酸度が低いオイルは発煙点が高く、より高温調理にも耐える力を持っているんです。オリーブオイルの中でもバージンオイルは精製していないオイルであるため、品質が悪いと酸化するードもとても速くなります。非精製であるバージンオリーブオイルは、精製したなたね油やコーン油と比べて、とてもデリケートなものです。しっかりした品質で作られたポリフェノールたっぷりのオリーブオイルは酸度が低く、高温調理にも耐える一方、品質に難のあるオリーブオイルは、他の精製油と比べると傷みやすく、いやな臭いが出てしまうんです。

 

ちょっと贅沢かもしれませんが、加熱用のオイルもそれなりの高品質のオリーブオイルに切り替えてみてください。圧倒的なさわやかさに驚くことになります。その究極がオリーブオイルの天ぷらです。

 

どこかでオリーブオイル天ぷらのレポートもいたしますので、ご期待くださいませ。

Text : Olive Hills

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