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  • 2016/5/26 05:00:11

「オリーブオイルの魅力とその使い方」第5回「エクストラバージンオリーブオイルとは」②

イアンノッタ工場(本文用)

 

前回は精製オイルのお話をしましたが、今回はその反対側のバージンオイルのお話。

 

オリーブオイルは、大きく精製オイルと非精製オイルに分けられると前回お話しましたが、非精製オイルのことをバージンオイルといいます。同じバージンオイルでも、化学特性、官能特製ともに優れたものだけをエクストラバージンオリーブオイルと呼びます。

その基準を定義している団体が、世界中に何団体もありますが、もっとも一般的なのが、IOC(国際オリーブオイルカウンシル)の定める定義です。

まず、化学特性としては、オイルの劣化度合いを示す数値である「酸度」が0.8%よりも低い値であること。実は少し前まではこの基準は1.0%だったんです。

 

どういう経緯で基準が厳しくなったのかのはわかりませんが、現実にオリーブを栽培して搾油をしている私たちからすると、実はこの0.8%という数値では、高品質オリーブオイルというには少しばかり心もとない値です。

 

日本におけるオリーブ栽培の発祥地であり、最大生産地である香川県で製造されるオリーブオイルの酸度は、ほぼ全ての生産者が酸度0.3%以下の基準をクリアしています。

 

アライオリーブ3本(本文用)

 

写真に書いてある「Acidity 0.07%」これは、世界最高水準のオリーブオイルを搾っている、香川県の「アライオリーブ」のボトル。なんと、酸度は0.07%!エクストラバージンオリーブオイルの基準の1/10以下という驚異の鮮度です。もうこれ以上できないというくらい、手間暇をかけて搾った超過剰品質なオイルはここまでいくんです。

 

前回デフェットオイルのお話をした時にも書きましたが、デフェットは「人災」です。ちゃんとした製造工程を踏んで丁寧な仕事を心がければ、酸度が0.2%を超えることは、通常ないはずなんです。

 

エクストラバージンオリーブオイルのもう一つの形式基準は、実を採取してから72時間以内に搾油すること。オリーブの酸化は、オリーブの実を収穫するときに果梗から実が離れた瞬間から始まります。ですから酸化を抑えるためにはできるだけ早く搾油してしまうことが大事なんです。理想的なオリーブオイルを搾ろうと思うと、この72時間以内というのも、心もとない基準です。高い意識で優れた品質のオイルを搾ろうと思っている生産者は、収穫から6〜24時間以内には搾油するようにしています。

 

樹上緑オリーブ(本文用)

 

収穫の時に、できるだけ実を傷つけないように摘むのも、酸化を抑えるのに有効なことです。傷が入っていれば、そこからどんどん酸化が進んでしまうわけです。モモを指で突くとそこから腐っていきますよね、あれと同じ理屈です。ヨーロッパでは、通常、オリーブの収穫は、オリーブの木の下に傘のオバケのようなネットを敷いて、シェーカーと呼ばれる機械で樹をゆすることで、バラバラと下に落として行います。それでも落ちない実は、ほうきのような道具でバサバサ叩き落とします。この収穫方法では、当然、実には傷かつくので酸化しやすくなります。

 

理想的な収穫ということになると、「ひとつづつ手で摘む」ということになります。大変な手間なんですが、これだと一切実に傷がつかないので、酸化を抑えるには理想的な方法です。私たちをはじめ、香川県の国産オリーブオイルの生産者はみんなこのようにして手間をかけて収穫しています。だから、酸度が0.2%台という低い数値を実現できるんです。

 

手のひら実2(本文用)

 

このように丁寧に収穫した実を、手入れの行き届いた搾油機で搾ることによって、フレッシュな香りのエクストラバージンオリーブオイルが出来上がるのです。そのようなオイルは、よほどのことがない限り、オリーブオイル鑑定士による官能試験を受けて「デフェット」の判定を受けることはありません。

 

以前にもお話した通り、オリーブはまだ実が青く未熟な状態にたっぷりのポリフェノールが含まれています。だんだん熟すにつれその強い抗酸化作用を持つポリフェノール成分が失われていくため、酸度を下げるためには、青く未熟な実を搾るということも重要です。

 

手摘みなんで手間はかかるわ、未熟なんでオイルは少ししか出てこないわ、本当に品質の高いをオリーブオイルを搾ろうと思うと、大変なコストがかかるんです。オリーブオイルの値段って、量販店で300円台のものから、専門店で3,000円台のものまでピンからキリまであるのは、どこまで手間をかけたかっていう結果なんです。

 

手間暇かけて搾ったエクストラバージンオリーブオイルは、それぞれの品種や収穫方法、搾油方法によって、実に個性豊かな味や香りを放ちます。次回はその個性についてお話いたします。

 

アライオリーブとドンペリ2(本文用)

Olive Hills

 

Text : Olive Hills

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