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  • 2016/1/3 07:37:06

伊吹島『オリーブいりこ』のポテンシャルは高い!

昨年11月の終わりに、香川県高松市で県の特産品「オリーブ」の活用に関するシンポジウムが開かれました。
香川県では、オリーブの実を収穫し、オリーブオイル、オリーブの新漬けなどを製造した後のオリーブの葉や枝の活用法の研究が官民協力のもとで進められています。

オリーブオイルに豊富に含まれるポリフェノールが、葉にも大量に含まれていることが分かり、ただ廃棄するのではなく利用できないだろうか?と言うテーマで様々な試みがなされています。現在中心になっているのはオリーブの葉の粉末を魚や家畜の飼料に配合することです。「オリーブハマチ(ぶり)」「オリーブ牛」の名でブランド化されているので皆さんも目にする機会があると思います。

オリーブハマチ

オリーブハマチ

オリーブブリ

オリーブぶり

シンポジウムの一環で「オリーブハマチ」の養殖場を見学することができました。

オリーブハマチの養殖場

オリーブハマチの養殖場

網起こし

網起こし

オリーブハマチ

4Kgのオリーブハマチ

イタリア料理ブームを受けて、我が国のオリーブオイルの年間輸入量は5万1千トンに上っています(2013年税関データ)。相手国の内訳は、イタリアから46.3%、スペインから44.1%、トルコから7.2%、ギリシャ等から微量となっています。
日本のオリーブ生産量は年間わずかに158トン(2012年農水省調べ)です。輸入量の統計はオイルだけの数字なので一概に比較はできませんが、単純計算で自給率は0.3%という低い数字です。九州を中心にオリーブの作付け面積を増やす取り組みが始まっていますが、今しばらくは輸入のオリーブオイルや加工品に頼らざるを得ない状況は変わりそうにありません。

(※オリーブの実に含まれるオイル分は20%以下と言われています。その上、新漬けなどに加工される分が多いことも考え合わせると、オリーブオイルの国産比率はほぼゼロと考えられます。)

国産のオリーブ生産の約95%は香川県に集中しています。明治41年に農商務省が、三重県、香川県、鹿児島県の3県で米国産オリーブの苗木の作付け試験を行いました。当時、日本沿岸で大量に漁獲される魚のオイル漬け缶詰を生産するのが目的でした。その結果、香川県小豆島だけが栽培に成功し、その後今日まで、日本のオリーブ栽培の中心地として100年以上の歴史を紡いできました。

シンポジウムでは、東京広尾の名店アクアパッツァの日高良実シェフによる「オリーブハマチ」を使ったイタリア料理の試食会も行われ、すっきりとした風味と鮮度の良い歯触りを楽しむことができました。オリーブの葉に含まれるポリフェノールの抗酸化作用がハマチの身の臭みを消し、切り身の鮮度を保持する良い方向に働いているようです。

オリーブハマチのイタリアン・ライスサラダ

オリーブハマチのイタリアン・ライスサラダ

オリーブハマチとチーズの出会い

オリーブハマチとチーズの出会い

オリーブの葉を活用する試みとして「オリーブいりこ」も研究開発されているという噂を耳にして、いりこ(煮干し)の特産地である香川県観音寺市の「伊吹島」を訪ねました。伊吹島には観音寺港から連絡船で渡ります。

伊吹島へは観音寺港から連絡船で渡ります

伊吹島へは観音寺港から連絡船で渡ります

生活物資と共に

生活物資と共に

伊吹島

伊吹島

伊吹港に到着します

伊吹港に到着します

イリコの島

「イリコの島」ポスター

いりこ漁(カタクチイワシ漁)の最盛期は夏場ということで、この時期の伊吹港は人影もまばらで静かな佇まいです。船の乗客のほとんどが島の住民と釣り客です。皆さんのお話では、夏場の伊吹島周辺は無数の2艘引きの漁船で埋まるそうですが、港に立ち並ぶ加工場にも今は人影がありません。

夏場は人で一杯の漁港周辺に、冬場は釣り人の姿だけが

夏場は人で一杯の漁港周辺に、冬場は釣り人の姿だけが

いりこの加工場にも人影はありません

いりこの加工場にも人影はありません

余談ですが、伊吹島は猫の島としても有名だそうで、島内を歩いているとどこからともなく何匹も顔を出し、近づいてきます。

伊吹島の別名は、猫の島

伊吹島の別名は、猫の島。ごめんね、エサ持ってないんだ。

「伊吹漁業協同組合」を訪ね、三好光一参事と松本朝男さんにお話を伺いました。

伊吹港に面した高台に建つ、伊吹漁業協同組合

伊吹港に面した高台に建つ、伊吹漁業協同組合

伊吹いりこTシャツ

伊吹漁協特製「伊吹いりこTシャツ」

エコバックもいりこ

エコバックも「IBUKI-IRIKO」

『オリーブいりこ』は香川県のオリーブ振興策の一つとして試作を始め、2015年に初めて製品化したのだそうです。伊吹島のもう一つの漁業組合である「伊吹大網組合」の北山正夫代表が中心になって取り組んできました。天然のカタクチイワシが原料となるため、養殖魚のようにオリーブの葉を飼料として与えるのではなく、加工時の煮塾過程でお湯の中にオリーブの葉の粉末を溶かし入れるそうです。まだ試行錯誤の最中だそうで、昨年11月に高松市の食品フェアでテスト販売を行ったそうです。今年、2016年の漁期には、さらに良い製品を目指し一般販売をする予定だそうです。

(左)伊吹漁業協同組合 三好光一参事 (右)伊吹大網組合 北山正夫代表

(左)伊吹漁業協同組合 三好光一参事
(右)伊吹大網組合 北山正夫代表

「伊吹いりこ」と「オリーブイリコ」

「伊吹いりこ」と「オリーブイリコ」

オリーブいりこ

オリーブいりこ

伊吹いりこ

伊吹いりこ

三好参事と北山代表のご厚意で、現状の『オリーブいりこ』を頂戴することができました。東京に戻り、出汁を取ってみました。比較のために伊吹漁協で手に入れた、通常の「伊吹いりこ」でも、同じ手順で出汁をとりました。

右がオリーブいりこ

右がオリーブいりこ

まず、袋を開けた時の香りを比べました。通常のいりこは「大羽」と言う大きめのイワシを集めたもので、多少強めの煮干し臭がします。「オリーブいりこ」の方は小ぶりのイワシですが、生臭い魚の匂いが全くせずに、わずかに柑橘系のような爽やかな香りです。オリーブの葉の消臭効果でしょうか?

オリーブいりこ20g

オリーブいりこ20g

伊吹いりこ20g

伊吹いりこ20g

500ccの水に、それぞれ20gのいりこを入れて、約30分間水に戻します。その後、約6分間煮出して出汁をとりました。

右がオリーブいりこでとった出汁

右がオリーブいりこでとった出汁

色合いが大きく異なりましたが、通常のいりこが大羽と言う大ぶりのいりこだったせいで濃いめに出たのかもしれません。
口に含んだ時の風味は、通常の「伊吹いりこ」は使い慣れたいりこ(煮干し)の出汁らしい豊かな味です。それに比べ「オリーブいりこ」の方は実にすっきりとした良い味で、雑味がありません。オリーブの効果でしょうか?

試作品とはいえ『オリーブいりこ』の充分なポテンシャルを感じることができました。今年の夏の新製品に大いに期待が持てそうです。

夏場のいりこ漁最盛期に伊吹島を改めて訪問したいと思います。

 

▶︎伊吹漁業協同組合 http://ibuki2011.ec-net.jp/

▶︎「オリーブハマチ」 http://www.kagyoren.jf-net.ne.jp/kansui/hamachi/

▶︎香川県産品「オリーブオイル」

http://www.kensanpin.org/products/products/list.php?category_id=52

Text : tohru

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