• キッチン
  • 2017/6/19 05:00:51

夏のおいしさ、とうもろこし〜基本の茹で方と応用の四十五分茹で〜

夏においしい野菜、とうもろこし。正確には穀物の一種で、世界中で食べられているすごい食べ物です。今日は茹で方の復習から。

普通に売られているとうもころしはスイート種(甘味種)という種類です。(他に家畜の飼料として栽培されるデント種などがあります)特徴はデンプンよりも糖を多く含んでいること。最近ではさらに糖分を増やしたスーパースイートという種類もあります。

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以前、NHKの人気番組ためしてガッテンで『茹でる』『蒸す』『電子レンジ』という調理で糖分に差が出るか、という比較をしていました。結果は「どれも同じ」というもの。とうもろこしは外皮に覆われているため比較的、味の流出の少ない野菜だからです。

糖に差が出ないならば考えるべきは外皮の食感ということになります。同番組で紹介されていたのは「ふっくらジューシーに茹でる」ための調理法。

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ふっくらジューシーに仕上げるためにトウモロコシは水から茹でます。この工程によってデンプンが水を充分に吸い込み、ふっくら仕上がるというわけ。なるほど理に適っています。

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鍋を火にかけます。デンプンは60℃くらいから糊化がはじまることから、厚手の鍋にたっぷりの水を入れる必要があることがわかります。

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ちなみにガッテンとは関係ありませんがとうもろこしは浮いてしまうので、落としぶたをするとに均等に火が入ります。落としぶたには経木を使うと便利です。日本料理では他に穴子を煮たりするときには経木を落としぶたにしますね。

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沸騰したら弱火に落として3〜5分間。ガッテン流では糖分の流出を抑えるために五分を越さないようにする、とのこと。

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水気を切ります。

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ガッテンとは関係ありませんが、とうもろこしが冷えると水分が失われ、皺がよる原因になります。そこで熱いうちにラップをしておくことでゆっくりと冷やされ、さらに水分の蒸発も防ぐので皺がよるのを防げます。

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提供する時には内側の芯の部分を少しつけるようにして削ぐのがポイント。芯の部分に複雑な甘みがあるからです。さて、基本の茹で方をふまえたうえで今回は応用の茹で方をご紹介します。

とうもころしはありふれた野菜なので、もはや普通の茹で方ではインパクトを与えられません。ここは一つ、プロならではという味をつくる必要があります。

「応用の茹で方のポイント その1 水からではなくお湯から茹でる」

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応用編では最近、出回っているとうもころしの品種はデンプンが極端に少ないので、水からではなくお湯から茹でます。この後、長時間茹でるので水から茹でると皮が柔らかくなりすぎてしまうのです。

さらに湯には塩を加えます。あらかじめゆで汁の濃度を高めておくことで、成分の流出を防ぐことができ、さらにインパクトのある塩味がつきます。このときの塩加減は1%。パスタを茹でる時の塩加減が目安です。

「応用の茹で方のポイント その2 髭はつけたまま茹でる」

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とうもろこしの髭は髭茶にも使われるほど風味と甘みがあるもの。一緒に茹でることでさらにゆで汁の成分濃度を高め、風味の流出を防ぐととともに、髭根の甘い香りをとうもころしにつけます。皮には嫌なえぐみがあるので使いません。

「応用の茹で方のポイント その3 茹でる時間は四十五分から1時間」

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このスタイルでは驚くほど長い時間、茹でます。そうすることで糖分は流出するものの、芯にしっかりと火を通すことができるからです。

とうもろこしの芯は出汁をとるのに使うほど味と風味が濃い部分。長時間、加熱することで芯の旨味を引き出します。

火加減は弱火です。とうもころしには硫化ジメチルや硫化水素、メタンチオールやエタンチオールといった風味化合物が含まれています。(マギーキッチンサイエンスp329)長時間煮ることでこれらとうもころし独特の風味を揮発させ、甘さと旨味が混ざった味だけを残す手法です。

ちなみにこれらの風味は揮発させずにミルクや貝類と組み合わせることでいわゆる「とうもろこしらしい」風味を強調することもできます。これはミルクや貝類を加熱した時に生じる匂いに硫化ジメチルや硫化水素が関係しているため。(同書p329)その点でとうもろこしが入ったクラムチャウダーやコーンスープというのは分子料理学的にきわめて相性のいい料理といえます。

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さて、とうもろこしが茹で上がりました。ゆで汁に塩分が含まれているのできちんと水分をとる必要があります。

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水気を切ってから、同じようにラップで包んで落ち着かせます。

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少し冷めてから提供しますが、この場合はさきほどのように提供するのはなかなか難しいので(内側に火が入っているので包丁を入れると粒状にバラバラになってしまうので)輪切りにします。

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食べてみると驚くほど余韻の長い甘みが広がるはずです。実は糖分を計るとむしろさきほどよりも低いのですが、柔らかいためにそう感じやすくなり、さらには芯から溶け出した旨味を楽しめるというわけ。

以前、アスパラガスを垂直に立てたまま二時間加熱する調理法をご紹介しましたが、いつも適当に茹でている野菜もたまには時間をかけてみると、意外な発見があるかもしれません。

Text : naoya

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