• キッチン
  • 2017/5/29 05:00:07

めばるのアクアパッツァ

メバルやキンキなどの磯魚がおいしくなってきました。今日は旬のメバルを使ってアクアパッツァをつくります。

アクアパッツァはイタリア、カンパニア州の郷土料理。名前の由来はいくつかあるようです。

1 薄めたワイン説

昔のトスカーナ地方。小作人はワインを地主に納めなければいけなかったので、後に残ったブドウの茎、種、実の絞りかすを水と混ぜて火にかけ、テラコッタの壷に密閉して数日発酵させたアクアパッツァというワインの代用品をつくっていた。転じて白ワインと水で煮る調理法からその名がついた説。

2 船上料理説

漁師が船上で魚を焼き、そこに海水を注いで作った。塩辛い水が沸騰した様子が狂った水のように見えたからアクアパッツァ説

3 塩の専売に対するナポリ人の抗議説

かつてのイタリアでは塩は政府の専売品で、高い税率がかけられていた。貧しい南部の人々は塩の代わりに海水を使って料理をすることを余儀なくされていたが、政府が海水を料理に使うことを禁じたので、海水ではなく狂った水だ、と呼んで抗議した説。

という具合ですが、一つ一つ考えていくと不安な部分も。例えば1は英語版のwikipediaにも記載されていますが(出典はCarole Counihan著『Around the Tuscan table』とのこと)wikiによると古典的なレシピではワインが入らないそうで、逆に必ず使われるのは水、オリーブオイル、ニンニク、イタリアンパセリとのこと。ワインが使われていないのなら、この説は疑わしくなります。

では2か、といってもなぜ海水が狂った水なのか、という説明はつきません。3も興味深いですが、もちろん真実は闇の中。(参照→http://www.larivistadelmare.it/dett_cambusa.php?id=96)イタリア料理らしいといえばそれまでですが、どなたか詳しい方に見解を聞きたいところです。

いずれにせよアクアパッツァはおいしい魚料理なので憶えておいて損はありません。

アクアパッツァ(二人前)

めばる  二匹

塩    適量

にんにく 2片

太白胡麻油  大さじ2

ミニトマト 8〜10個

レモン  お好みで

ハーブ  お好みで(今回はフェンネル)

ケッパー お好みで

水    200cc

白ワイン 100cc

EVオリーブオイル   50cc

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めばるはお魚屋さんで内蔵を抜いて、水洗いという下処理をしてもらいました。煮付けにしてもおいしい魚ですよね。今回は魚だけで作っていますがアサリを入れたほうがおいしくできます。

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アクアパッツァにする場合はヒレや背びれなどをハサミで切っておきます。この作業は省略することもできます。IMG_2022

身の厚い部分に切り込みを入れておくと、火と味が入りやすくなります。魚の全体に塩を振ります。この時、お腹の内側にも忘れずに。10分間、置きます。

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そのあいだに他の材料の準備を。ミニトマトは包丁で穴を開けておきます。こうすることで味が出やすくなります。ドライトマトを使ってもいいです。ハーブはイタリアンパセリが王道ですが、今回はフェンネルを使いました。どちらでもOK。他にオリーブなどを入れてもおいしくできます。

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魚の表面に水気が出ていると思うので、ペーパーで拭き取っておきましょう。

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今日は油脂を二種類使います。オリーブオイルだけでもいいのですが、魚の加熱には太白胡麻油を使いました。この油は拭き取ってしまうので味の大勢には影響しません。もちろんすべてオリーブオイルでもOK。

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まずは大さじ2の太白胡麻油とニンニクをフライパンに入れ、弱火にかけます。

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鍋を傾けて、油の中で揚げるようにしてゆっくり加熱していきます。

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にんにくがこんがりと色づいてきたらとりだします。竹櫛をいれるとすっと刺さるくらいの柔らかさ。現地では魚料理に胡椒を使わず、赤唐辛子を入れることも多いようなので、赤唐辛子を入れてもOK。

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これくらいになるとフライパンもいい温度になっているので、魚を焼いてきます。

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フライパンの縁のカーブを使うとまんべんなく焼くことができます。IMG_2035

魚から出てきた酸化脂質が油に溶け込んでいるので、一度、拭き取ってしまいます。この工程によって生臭みがかなり軽減されます。

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ここで水を加えますが、アクアパッツァの語源が薄めたワイン説をとるのならやはり薄めたワインを使いたいところ。そこで水200ccとワイン100ccを混ぜて薄めたワインを作っておきました。IMG_2036

水を注ぎます。分量は魚の半分が浸る程度。レシピの分量でちょうどだと思います。あさりを入れるならこのタイミングで。

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ここからはタイマーが便利。8分間、加熱します。

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火加減は中火のまま、ぐーと煮詰めていきますが、この時、水分を魚にかけるようにします。頭の部分は火が入りづらいのを少し意識して。

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のこり五分になったら緑のハーブ以外の材料をすべて加えて煮込んでいきます。少し火を弱めました。

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EXオリーブオイルを準備します。量に驚きますが、これくらいは入ります。

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残り二分になったらオリーブオイルを投入します。この時、火を強めましょう。

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強火で加熱することで、魚のゼラチン分(とトマトの皮のペクチンも多少影響しているかもしれませんが)によって煮汁とオリーブオイルが乳化していきます。もしも、乳化が甘ければ鍋をゆすります。それでも乳化しない場合は水分が不足しているので、水を足して調整します。

アクアパッツァの最大のポイントは魚に含まれるゼラチン分です。一匹まるごと使うメリットはここにあります。したがって切り身でつくる場合はゼラチン分が少ないので、オリーブオイルの量を減らすなどして調整することになりますが、タラや鯛などのゼラチン分の多い魚であれば切り身でも充分に乳化作業を進めることができます。同じ原理を使った料理にスペイン料理のタラのピルピルがありますね。

とはいっても完全に乳化させないのがイタリア料理的。食べるに油滴の大きさであれば充分なのでミキサーなどは使う必要はありません。鍋を揺する程度でいいでしょう。

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ハーブを加えて仕上げます。塩、胡椒で味を整えます。ケッパーなどもともと塩分を持った材料が入っているので、味付けは慎重に。

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温度がさがると油っぽく感じることがあるので、ぜひお皿を温めておいてください。骨付きの魚は食べづらいですが、格別のおいしさ。煮付けよりも簡単なので是非、色々試してみましょう。

Text : naoya

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