• キッチン
  • 2017/3/5 05:00:53

豚バラを60度で48時間加熱すると・・・どうなったか

低温調理法(真空調理法:フランス語でcuisson sous-vide)のデバイスJouleを入手して実験が続いています。すでに掲載のある「低温で24時間加熱すると豚の肩ロースも柔らかくできます」にある通り、肉の凝固温度は含まれるタンパク質によってそれぞれ異なります。

ミオシンは50度〜60度
アクチンは66度〜73度
コラーゲン(例えばⅤ型)は68度以上

とくにアクチンは加熱すると収縮してみずから肉汁を絞り出してしまうため、肉のパサつきに直結します。コラーゲンは68度以上にならない低温でも長時間の加熱によって軟化することがわかっているので、60度で長時間加熱するとしっとりプルプルが実現できるというわけです。

では肩ロース以外の部位でやるとどうなるか。今回はコラーゲンたっぷりの豚バラを低温長時間で加熱してみます。豚バラ肉はコラーゲンが豊富ですが、一方で100g中の脂質が約34gとかなりの割合で含まれています。豚バラの料理で有名な沖縄料理のラフテーなども1時間から多いと4時間ほど茹でこぼしてから煮込むのは、この3割を超える脂をほどよく取り除くプロセスと考えられます。

ただそれだけ長時間、沸騰した湯で茹でると例のミオシンやアクチンが収縮することは避けられません。そこで低温調理デバイスJouleで60度48時間以上の加熱をしてみます。ジップロック(ストックバッグ)内で豚バラ肉から脂を取り除き、ミオシンやアクチンの収縮を最小限にとどめてコラーゲンをやわらかくできるか、チャレンジです。

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用意したのは530gの豚ばら肉。白っぽく見えている部分が脂肪とコラーゲンです。加熱によって脂肪が液体になって流出し、コラーゲンが透明がかったゼリー状になるのが理想。

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スパイスはfoodparing.comで調べてコリアンダーシード(左)とシナモン(奥)とタイム(右)を使うことにしました。

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それから生姜のスライス

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ジップロック(ストックバッグ)に材料を全て入れます。

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ジップロック(ストックバッグ)はサイズが小さすぎたりすると肉がバッグ内で反り返ってしまい、空気が抜けにくくなってしまいます。したがって写真のように横に豚ばら肉が入る程度の幅のあるものを選びます。

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隙間を埋める液体は醤油。肉にぴったりまわれば大丈夫なので鍋で煮るよりもはるかに少ない量です。

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鍋に60度のお湯を準備します。最初からjouleで温める必要はなくて、給湯ポットなどを活用すると準備もあっという間です。お湯が60度になって準備が整ったらジップロック(ストックバッグ)に入れた豚バラ肉を投入。水圧でバッグ内から空気をしっかり抜きながら沈めていきます。この時にバッグ内に空気が残っていると、徐々にバッグが浮いてきてしまい加熱にばらつきが出てしまいます。

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60度48時間加熱の元ネタはロンドンの三つ星レストランFad Duckのへストン・ブルメンタルが考案した「究極のポークベリー(pork Belly)」。へストンさんは24時間をこえて36時間になるとコラーゲンがしっかり柔らかくなるとしています。そこで36時間で加熱を止めようと思っていたのですが、うっかり帰宅できず、遠隔操作で急遽12時間加熱時間を追加したというわけです。Jouleの専用アプリは外出先からもJouleにアクセスして温度や時間をコントロールすることができます。もう少し計画的に使ってみたかった機能ですが、やってみると便利です。

ちなみに鍋の水は48時間の間にどんどん蒸発して少なくなります。蓋をするなどして蒸発を抑えることもできますが、それにしても減ることは避けられません。気がついたら程よいお湯を足す必要はあります。

それで48時間経過した豚ばら肉はどうなったかというと、以下のような感じです。冷えて脂がかたくなる前にジップロック(ストックバッグ)から取り出します。

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できあがりは脂の部分が溶けて小さくなってはいるものの、加熱で肉が縮むようなことはなさそうです。コラーゲンはやわらかくゼリー状のプヨプヨの状態になっています。

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カットすると断面はご覧のような感じです。食べてみると、半透明になったコラーゲンはプルプルでやわらかく、肉もジューシーで煮締まった感じではありません。食感もラフテーなどとはまた違った味わいに仕上がっています。

唯一気になったのは、豚肉の脂の独特の香りが残ってしまったこと。鍋から引き上げてからフライパンで1分ほど焼けば、なくなるかもしれませんが、今後の課題となりそうです。

Text : motokiyo

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