• キッチン
  • 2017/2/8 05:00:10

電子レンジでたまねぎを甘く飴色にできるか?沸点100℃の壁の超え方を考える

楽しんで時間をかけてじっくり炒めるというのも素敵ですが、トータルエネルギーを最小限に、得られる効果を最大にしようという試みもまた必要。ということで「たまねぎを甘く飴色にする方法を見なおしてみる。まずは電子レンジ調理から」の続きです。

前回、タマネギ100gには果糖とブドウ糖が5.3g程度ふくまれていて野菜としては甘い部類にあり、一方、細胞が壊れると刺激性の強い香りと辛味が生まれる化学防御機能も持っていて、そう簡単に甘さを満喫できまないことをご紹介しました。したがってじっくり炒めて甘く飴色になるには、細胞の中にある糖が染み出して加熱によって濃度が高くなること、同時に刺激臭と辛味がなくなっていることが必要で、くわえて高い温度で糖のカラメル反応や、メイラード反応もこの美味しさを引き出すポイントです。なおタマネギに含まれる果糖は110℃で、ブドウ糖は160℃でカラメル化がおこり、メイラード反応がもっとも活性化するのは155℃とされています。

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フライパンや鍋の表面温度は素材にも火力にもよりますがおおむね約180〜200℃。接着している面は高い温度なので水分の蒸発とともに硫化水素の揮発が起こり、カラメル反応とメイラード反応も同時に発生しています。ただし主にフライパンや鍋の表面に発生する現象なので鍋底の広さとたまねぎ量のバランスによる影響は大きいのです。量が多ければ当然つきっきりでかきまぜ続けなくてはなりません。フライパンや鍋の素材や熱源にもよって焦げやすかったりもします。

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じっくり炒めていくと、たまねぎがねっちりとしてきて鍋やフライパンの底にこびりつくような焦げが出てきます

電子レンジによる加熱は、焦げや長い調理時間といった作業の負担やリスクを回避する有効な手段かもしれません。しかし課題もあります。それは電子レンジはあくまでも水を加熱する手段で、しかも水は1気圧では100℃以上にはならないということです。つまり100℃よりも高い温度帯で起こるカラメル反応とメイラード反応を得ることが難しいわけです。これが電子レンジ加熱における「100℃の壁」です。

そこで今回試してみるのは「油」を使うことです。本来、電子レンジは油を直接加熱することができないとされていますが、水を介在させることで加熱できれば「100℃の壁」を超えて、それこそ180℃に近い温度が生まれる可能性もあるかもしれません。

そこでスライスしたタマネギを2種類用意して、一つはそのまま、もう一つには油であえて同時に電子レンジで加熱してみます。一定の加熱時間の後、両者に大きな違いが生まれていれば油を加える可能性がわかるはずです。

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まずはタマネギを縦半分に割って、それぞれスライスします。二つのブロックに分けて、それぞれ別の加熱方法を施すことで加熱の違いを観察してみたいと思います。

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右側のタマネギには菜種油を全体にまぶしておきます。左側はそのままにしておきます。電子レンジで加熱されたとき左側は水の沸点100度を超えることがありませんが、右側は油が電子レンジで加熱されたときに100度以上、例えば180度とかになれば、明らかに右側のタマネギは茶色く変色することが想定されます。

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そんなわけで電子レンジで700Wの強さで10分間の加熱を行いました。3分ほどすると電子レンジから刺激的な香りが立ち上りキッチンに広がります。この香りから細胞が壊れて内部の防御物質が反応していることがわかります。油の入っている方はどうなっているでしょうか。

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時間が経ったので取り出してみると結果はご覧の通り。明白というにはもう一息必要ですが、それでも右側の方が茶色く色づいていることがわかります。そして取り出したときに底面にある水と油の混合したものがジュワーっと泡立っている状態でした。

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近づいてみるとこんがりと色づいているのがわかります。写真下は左側の油を加えていないたまねぎです。

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ご覧の通り、末端は焦げているだけでたまねぎが茶色く色づいてはいません。油を加えるとそれだけ温度が高くなる効果があることがわかってきました。

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ちょっとフライドオニオンのような感じになってます

食べてみると、じっくりと炒めたときのようなしっかりとしたタマネギの甘さでした。電子レンジにいれて放っておいてこれができちゃうなら便利です。今回は700Wで10分の加熱でしたが、加熱時間、あるいは電子レンジの出力を変えることでもっと別の結果が見えてくるかもしれません。

「甘く飴色のたまねぎづくり」の旅はまだ終わりません。次回は電子レンジとは別の調理プロセスで短時間で甘く飴色になる方法をご紹介したいと思います。それでは。

Text : motokiyo

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