• キッチン
  • 2016/6/13 05:00:22

ワインのお勉強とハイパーデキャンティング

最近、ノンアルコールペアリングを提供するレストランが増えてきました。個人的には好きな飲み物を頼めばいいじゃないか、と思うのですが、料理人も料理と飲物の相性について考えなくてはいけない時代に入ってきたようです。

ソムリエではありませんので詳しい産地がどうこうということはお教えできる立場ではありませんが、これから食育通信onlineでも料理と飲み物の相性について考察していきます。

まず学ぶのはワイン。ノンアルコールの飲み物を考えるためにもまずこの飲み物がなぜ食中酒として最適とされてきたのか、を理解する必要があります。

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ワインには赤ワイン、白ワイン、黄ワインや貴腐ワインなど様々な種類がありますが、最近はそこにBioなども加わり、さらに複雑になっています。ワインが食中酒として最適なのは

  1. 酸度
  2. 甘み
  3. アルコール
  4. タンニンなどのポリフェノール類

を含むからです。この4つの要素を理解することがはじめの一歩。肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインという分類が意味をなさないのはタンニンの少ない赤ワインもありますし、逆にタンニンの多い白ワインもあるからだったりします。

酸味は舌をリフレッシュさせてくれますし、甘みも重要な要素です。料理に甘みが含まれる場合はワインにも同程度の甘みがないと違和感があります。また甘みは脂肪分ともあいますから(砂糖が入ったホイップクリームがおいしいように)脂肪分が多い料理にも甘みは欲しいところ。例えばソムリエは無視していますが、コカ・コーラには大量の糖分とのバランスをとるために様々な酸味が大量に加えられています。その強い酸味と甘味によってピザやポテトフライ、ハンバーガーといった脂肪分の多い料理との相性がいいのです。また炭酸にも口のなかを洗う作用があります。

ただし炭酸や水分では口を完全に洗うことはできません。香りは大抵脂溶性なので、水で口を流しても残るのです。そこで登場するのがアルコールです。アルコールは水にも油脂にも溶けるので、よりすっきりとさせてくれます。

タンニンはタンパク質と結合する性質があります。ですからこってりとした肉料理などを食べるときにはタンニンやアントシアニンをたっぷりと含んだ赤ワインなのです。ちなみにビールの場合はホップがタンニンの要素に当てはまります。苦味の強いビールが肉料理にあい、軽い口当たりのビールが魚のフライにあうのはそんな理由です。

それでは実習として料理とワインの相性を勉強しましょう。まずはタンニンを知るために紅茶を準備します。

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小さじ1の紅茶を100ccで抽出して、かなり濃い紅茶をつくります。

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続いて準備するのはウォッカです。香りのない純粋なアルコールに近いウォッカを水で三倍に希釈します。

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残りの2つは大さじ1のレモン汁と100ccの水をあわせたもの。もう一つは100ccの水に小さじ1の砂糖を溶かした砂糖水です。この四種類の飲み物を準備して、様々な食物と一緒に味わってみましょう。紅茶のタンニンが肉料理にどのような影響をあたえるか、アルコールによって口のなかがどれだけリフレッシュされるか、といったことが理解できるはずです。

この場合、風味は除外しています。風味の相性については個人の感覚によるところが大きいですが、foodpairling仮説なども参考にできるでしょう

参考『気仙沼完熟オイスターソースを風味ぴったりの食べ物とペアリングして食べてみた

ネギとイチゴで魅惑の新しい香りが誕生。その名もストロネギー【ジャム研】

しかし、相性の悪い組み合わせは例外として風味はおまけのようなもの。大事なのはこの4つの要素がどのように食品に影響を及ぼしているか、ということです。働きを理解したうえではじめてノンアルコールペアリングが提案できます。

ところで赤ワインについて面白い実験があります。ネイサンミアボルト率いるモダニストキュイジーヌチームは赤ワインの新しいデキャンティング(空気に触れさせる方法)として『ハイパーデキャンティング』を提案しています。

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ワインを開けたら『ちょっと渋いな……』ということはありませんか。そんな場合、ソムリエは仰々しくデカンターに移しかえたりします。急いでいる場合は少し泡立てようにして作業をすることもあるそうですが、ミアボルトのやり方は実にシンプル。

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ワインをミキサーにかけるのです。

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三十秒~1分かけるとこんな感じ。細かな泡を含んでいますがすぐに消えます。

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これが同じワイン? と驚くほどまろやかになります。香りがなくなるのでは、と思う方もいますが、その心配も特にありません。若いワインに特にお勧め、とのことですが「1982年のマルゴーでも例外ではない」とミアボルトさんは言っています。二重盲検を採用したブラインドテイスティングの結果でも90%の人がミキサーにかけたワインのほうがおいしい、と答えたそうです。ソムリエやワイン愛好家の方には眉をしかめられそうな方法ですが、一度お試しください。本当にびっくりするほど味が変わります。

ちなみにワインの香りをさらに楽しみたい、という方は部屋の湿度の方が重要になってきます。湿度を下げ気味にするとワインの香りは強く感じるはずです。逆にいうと高温多湿の日本ではワインの香りを楽しむのはなかなか難しい、ということかもしれませんが、経験的に海外旅行中のほうがワインの香りが楽しめた、という方も多いのではないでしょうか。とりあえず今日はこんなところで。

Text : naoya

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