• キッチン
  • 2015/12/14 05:00:00

ローストチキンをおいしくつくるには〜前編 鶏の掃除と縛り方1〜

(よりおいしくつくる作り方は後編を御覧ください)

クリスマスが近づいてきました。クリスマスに焼く家禽といえば七面鳥がありますが、これは焼くのが一番むずかしい家禽です。ちょっとほっておくとパサパサになるし、大きいので扱いも面倒。鶏のほうが手軽でおすすめです。

ケンタッキーフライドチキンによってクリスマスに鶏を食べる独自の習慣が日本ではじまったのが1970年代。それからスーパーなどでもこの時期になるとローストチキンが売り出されるようになり、完全に定着しました。今では日本のクリスマスの風景と言っていいでしょう。

鶏を1羽まるごと料理する機会などあまりありませんから、挑戦してみてみる価値あり、です。

今回のテーマはローストチキン。まずは前編の作り方で基本をマスターします。

ローストチキン

若鶏 一羽(今回は1.2kg相当)

塩  重量の1%目安

胡椒 適量

バター 30g

にんにく 1個

材料は至ってシンプル。さて、おいしいローストチキンを焼くために、どのように調理すればいいか、考えていきます。前編ではフレンチの帝王、ジョエル・ロブションの焼き方を参考に作業を進めていきます。

オーブンを220度に温めておきます。不安なのは使うオーブンがガスオーブンやコンベクションオーブンといった火力の強いものではない電子レンジオーブンというところ。しかし、家庭にある一般的なオーブンは電子レンジオーブンでしょうから、これで作ってみます。

まずは基本の下処理から。

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鶏はお肉屋さんで『鶏の中抜き』と注文すればわかるはずです。鮮度のチェックの仕方は手羽の裏を触ってみること。ここがベトベトしていたら鮮度が悪いので避けましょう。この鶏で1.5kgくらい。1キロから1.5キロくらいがスーパーなどで一般的に売られていますね。

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(追記、普通は先だけを切って、手羽は落としませんが)

今回は手羽を落とします。骨を九十度に曲げて、45度のところにまっすぐに包丁を入れます。この角度がコツで、関節が切れます。鶏を捌くときのコツはとにかく骨を切らないで、関節を切ること。そのためには骨格を理解することです。

反対側の手羽も同じように落とします。ちなみに手羽先も気にならなければ落とさなくてもOKです。根拠があるわけではないですが、アメリカの料理人には落とさないで焼く人が多い気がします。

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首がついている場合は落としましょう。首を引っ張り、根本に包丁を入れます。そして、左手で持っている首の部分を左右に動かすようにします。包丁を動かす必要はありません。すると、、、

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すとんと落ちます。この際、首のまわりの皮は胸肉を保護するのに重要な役割を果たしますのでなるべく残しましょう。

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首を落としたら今度は指でV字の形の骨を探します。これは鎖骨で外しておくとあとで切り分けやすくなります。鎖骨を外す作業は絶対に必要というわけではなく、アメリカの家庭では鎖骨は外しません。ウィッシュボーンと呼ばれ食べるときに二人で両端を持って折り、長い方の人の願いが叶う、なんてことをします。見えづらいですが左手の親指で骨のまわりの肉を削いでます。

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こんな感じで骨を取り除きます。包丁を使ってもいいですが、じつは指でやるのが早くて簡単です。十羽とかの鎖骨をはずさなくてはいけないときは隠れて手でやってしまってもまずバレません。

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鎖骨はこんな感じの骨です。

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お腹のなかも忘れずにチェックしましょう。なぜなら、、、

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鶏の中抜きにはかなり高い確率で腎臓の残りがくっついているからです。これは臭みの原因になるのでペーパーでしっかりと拭きとります。

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今回は食道なども残っていましたね。取りのぞいてペーパーでよく拭き取ります。皮の周りについている脂も余分などで取り除きますが、皮はなるべく残すようにします。

さて、これで下処理は終わり。鶏肉は室温で一時間は置き、常温に戻しておきます。衛生的な観点から見るとダメですが、常温に戻しておかないとうまく焼けません。ジョエル・ロブションは「常温に戻す時間がないときは、余熱していないオーブンに放り込んでしまえばいい。十五分いつもより余分に焼けば火が通る」と言っています。余熱をしていないオーブンでゆるやかに加熱をするのはたしかに効率的です。

常温に戻すと表面が結露することがありますので、もう一度ペーパーで表面を拭いてから塩、胡椒で味付けをしましょう。

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塩はお腹のなかにも振るようにします。ここでローストチキンに詰め物をする、という選択肢がありますが、ジョエル・ロブションは詰め物はしないほうがおいしく焼けるという説を主張しています。詰め物に火を上手に通すのは難しいからです。逆にハロルド・マギーはレモンなどを詰めると水蒸気によって内側から加熱されるので良いと書いています。なるほど、レモンは香りづけにもなりますし、良さそうです。ただし、日本で栽培されているレモンは皮の苦味が強い品種がほとんど。なので、今回は詰め物はしません。香りはその後の工程を工夫することにしましょう。

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胡椒も振っておきます。ジョエル・ロブションは見た目のきれいさから白胡椒をすすめていますが黒胡椒でもOKです。このあたりはお好みで。

塩をして時間を置いたほうがいい、という人もいますがローストチキンは加熱時間が長いのでとくに気にしなくても大丈夫。塩は温度が高いほど浸透する速度が早くなるからです。

【鶏の縛り方〜伝統的で簡単な方法〜】

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さて、これから縛りにとりかかります。ブリデ針を使って縛る方法が一番、丁寧ですが、針がなくても家庭ではタコ糸だけで充分です。今回は一番、簡単な縛り方をします。

脇の骨を抑えるようにして糸を鶏の下に通します。

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こんな感じですね。糸をそのまま引っ張って、胸の手前に持って行きます。2015-12-10 16.54.27

ここで一度、糸をクロスさせます。

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ここで一度、縛って糸を引っ張ります。胸肉の皮が引っ張られてきれいになります。

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次に両手の小指と薬指でもも肉を持ち上げて

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下でクロスさせます。もも肉を縛って固定します。

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ぎゅっと縛りましょう。

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ここで鶏を前転させて、糸の両端をおしりに回します。

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ここで縛ります。

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三回、男結びで縛ればOK。

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余分な糸を切りましょう。

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縛り終わりです。このままポシェ(茹でる)すればポトフに使えますし、蒸し焼きにもできます。すごくシンプルな縛り方なので、数回練習すれば簡単に憶えられます。

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ローストする前にポマード状に柔らかくしたバターを刷毛で表面に塗ります。今回は30g使いましたが、ロブションのレシピではもう少し分量が多いです。予算とカロリーが気にならなければ倍くらいの量が美味しいでしょう。

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耐熱皿かオーブンに入れられる大きさの鍋に薄皮の状態にしたニンニクを1個、手羽、首ズルなどを入れて、鶏肉を脇を下にして置きます。ここが普通、胸肉が上になるように置いてしまう普通のやり方とは異なる部分です。ロブションのスタイルですね。

オーブンに入れます。

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十五分経ったら、向きをかえて反対側の脇を下にします。この時に焼き汁をスプーンでかけます。また十五分間、加熱します。

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今度は背を下にして加熱していきます。

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焼き汁をかけることを忘れないように。この場合はもも肉の部分に重点的にかけます。

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計、45分間(もも肉が十五分ずつ、胸肉が十五分)焼きました。焼いているあいだ、台所にはいい香りが漂います。

ありゃりゃ、、、焦げ目があまりついていません。かなり不本意な出来です。たまには失敗もしますわな、、、。気をとりなおして、肉を休ませましょう。

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休ませるのにもコツがあります。胸肉が下になるようにして、休ませるのです。アルミホイルを被せて十五分、休ませます。もも肉の肉汁が下に落ちて、胸肉がよりしっとりします。

この焼き時間はどのように決めればいいのでしょうか。重さ一キロあたり45分とよく言いますが、そうとも言い切れないのが難しいところ。実際には時間でははかれません。焼き具合の基準となるのは温度です。胸肉は68度を越すと乾燥し硬くなってしまいます。ところがもも肉はコラーゲンが多いので、73度より低い温度で調理すると噛み切りにくいです。この相反する性質をどのように処理するか、というところに丸焼きの難しさがあります。

また、食品衛生的にはカンピロバクターが死滅する75度に達していることが目安になります。でも、心配はご無用。この数字は時間という変数を無視ししているので、実際には68度でも一分程度でパスチャライズされるので安心です。

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ジュをとる場合は簡単にやるなら水(またはチキンブイヨン)を150ccをロースト皿に加え火にかけ、キベラで旨味をこそげるようにします。耐熱皿の場合は同じ分量のお湯を注いで、同じようにキベラでこすりとってから鍋に移し、軽く煮詰めましょう。ニンニクを潰すとジュに風味がつきます。

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さて、でき上がったローストチキンの火加減はちょうどいい具合でしたが、いまいち焦げ目がついていません。家庭用の電子レンジオーブンのパワー不足感は否めません。コンベクションオーブンならこの段階で焦げ目がついているのですが、、、

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しょうがないので油を小さじ2敷いたフライパンを中火にかけて、鶏肉の表面を焼いて焦げ目をつけました。フライパンのカーブを使うようにすると、丸い鶏肉にも均一な焦げ目がつきます。焼いている最中に跳ねることがありますので、注意しましょう。休ませる工程で鶏の内側の焼き汁をしっかり落としておくと、油跳ねが減ります。

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できあがり。マッシュポテトや茹で野菜を付け合わせに。

食べるとしっとりとして美味しいのですが問題も多い結果でした。皮が柔らかくパリパリ感がないのです。また皮が身から剥がれやすいのもマイナスポイント。後編では反省点を踏まえて、改善レシピを提案します。

Text : naoya

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