• キッチン
  • 2015/8/17 05:00:22

二度揚げいらずの揚げ物のコツ「簡単フライドポテトのレシピ」

夏に揚げ物の記事というのもちょっと季節外れの印象がありますが、今日のレシピは『フライドポテト』

フレンチフライという呼び方はアメリカ風で、フランスの核実験が問題になったときは連邦議会で『フリーダムフライ』と呼ぶようにという意見も出ましたが、定着はしませんでしたね。フレンチとつきますが、元々はベルギー料理です。フライドポテトのポイント、二度揚げを発明したのはベルギー人という話もあります。

さて、この二度揚げにはどのような効果があるのでしょうか。フライドポテトの大きさに切ったじゃがいもを190度の油で揚げてみればわかります。表面はこんがりと焦げたところで取り出すとなかは生っぽいはずです。これはジャガイモの熱慣性が非常に強いから。

それを防ぐためには低い温度でじっくりと火を通してから、次に高温の油で火を通す二度揚げが効果的。同じ理由で中心までしっかり火を通したい唐揚げなどにも、二度揚げは用いられます。

今回、紹介するのはそんな二度揚げいらずの方法です。

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ジャガイモは北海こがねという品種を使いました。形も細長く、糖の含有量も少ないのでフライドポテト用の品種です。メークインのような粘質のじゃがいもはフライドポテトに向きませんが、この後の工程で補うこともできます。

いずれにせよ品種の違いはフライドポテトの仕上がりに大きな影響を及ぼします。基本的にはでんぷん質の多く、糖が少ないじゃがいもを用いるのがカリッとして、ほくほくのフライドポテトづくりへの道。フライドポテト向きとされる代表的な品種を挙げておきます。

ホッカイコガネ、ムサマル、トヨシロ、十勝こがね、ベニアカリ

また冷蔵庫などで貯蔵すると糖が増えてしまうため、そうしたジャガイモ(例えば越冬じゃがいものような)も避けましょう。

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棒状にカットしていきます。

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今回はあまりカリカリにはしたくないので、表面をさっと洗う程度で留めます。すぐに揚げるなら洗わなくても大丈夫です。多くのレシピでは『洗うとカリッとする』と書いてありますが、比較すれば必ずしもそうとはいえないことがわかります。

表面をカリカリにしたければ洗うよりもお湯につけるほうが効果的でしょう。約76度の湯に15分間ほど漬けておけば、ペクチンを硬化させよりカリカリした食感にできます。

洗うことによるメリットは表面の糖をとりさることによって揚げ色が軽くなること、また芋の酵素の活動を停止させ変色を防げるということです。つまり洗うことにより前もって準備しておけるのが一番の利点。ちなみにここで漬ける水に水飴を添加する(もしくはコーンシロップ)と揚げ色が濃くなります。

フランス人シェフの多くは一度、ここで茹でる人も多いようです。これはメークインのような粘質で、でんぷん質が少ないじゃがいもや、冷蔵庫で貯蔵してしまい糖が増えてしまったじゃがいもを用いる場合には、有効な下処理です。表面の澱粉をゼラチン化することでより皮の厚いカリッとしたポテトになります。そうした仕上がりが好みなら一度、2分間茹でて表面に火を通します。

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洗ったじゃがいもの表面の水気をよく拭きとります。水がついていると油を多く吸い取ってしまいます。これはお好みですが表面をさらにカリカリに仕上げたければ片栗粉をまぶすという手もあります。片栗粉はじゃがいもからとった澱粉、表面を洗い糖を除去し、減った分の澱粉を片栗粉で補うというわけです。

今日のテーマは二度揚げ入らずのテクニックの紹介なので片栗粉はまぶしませんでした。

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さて、ここで二度揚げ入らずのテクニックの登場です。フライパンにじゃがいもを入れ、

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冷たいサラダ油を注ぐのです。

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強火にかけます。

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油の温度が93度を超えると泡が立ちはじめます。ここで火加減を中火に落とします。鍋を揺すり、温度を均一にしながらさらに揚げ続けます。

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油の温度が180度に達する頃には表面が色づき始めているはずです。つまり冷たい油から揚げることで、低温で加熱し、高温で表面をかりっとさせるという成果を同時に達成しているわけです。このテクニックは偉大なシェフ、ジョエル・ロブションが家庭向けのレシピとして考案したもの。ちなみにロブションさんは揚げ油にピーナッツ油を使っています。

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ペーパーで油をとります。せっかくロブションさんのスタイルなので、味付けもロブションさん風に。ロブションさんは二種類の塩をふりかけることを提案しています。

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まずは粒子の細かい塩を振り、

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次に目の荒いフルール・ド・セルを振ります。細かな塩は味付けのため、荒い塩は食感のアクセントになります。

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出来上がり。辛いディジョンマスタードをつけて食べるのがフランス風です。

〈おまけ〉

よりカリッとした風味豊かな食感にしたい方におすすめは動物性の脂肪を揚げ油に使う方法。ラードとヘッドが半々というのがおすすめですが、さらに上を目指すなら秘密の材料があります。

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馬の脂です。これは三ツ星シェフ、アラン・パッサールさんがまだ2つ星だった頃に公言していたテクニックです。このフライドポテトが三ツ星に昇格する秘密だったのかもしれません。

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小さく切って火にかけるとすぐに溶け出します。ハンドクリームとして使う馬油を想像していただけばいいと思いますが、馬の脂は融点が非常に低いのです。

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馬の脂がとれました。少し温度を下げてからじゃがいもを投入します。じゃがいもは決して洗わない、というのがパッサールさん流。

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一度目のフライは130度で。10分間、鍋を揺すりながら加熱していきます。

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じゃがいもは色づいていませんが、なかに火は通っているはずです。5分ほど表面を冷まします。ちなみにこの工程で冷凍庫に入れて、表面を固めるとさらにカリカリになります。マクドナルドのフライドポテトは真空にかけて水分を除去し、その後、冷凍するという手間をかけてあの触感を実現しています。

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180度に熱して……。

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芋を投入します。すぐに色づき始めるはずです。

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出来上がり。ペーパーで余分な油をとりましょう。カリッとして軽く、甘みを強く感じます!

動物性の油を使ったほうが(摂取する飽和脂肪酸は増えますが)おいしいのです。そういえば昔のマックフライポテトは動物性の油を使って揚げていましたね。現在では水素が添加された(やや危険な)油に変更されてしまいましたが、昔のほうが美味しかった気がします。

フライドポテトは作り方が本当に様々。機会があれば究極のフライドポテトの作り方もご紹介します。それでは!

Text : naoya

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