• キッチン
  • 2015/7/13 05:00:46

南仏のソース、タプナードの作り方

今回、ご紹介するレシピはタプナード。ディップのようにパンに塗りアペリティフのスナックとして、あるいは焼いた魚にも肉にもあう万能ソースです。主な材料はオリーブ、もちろんいくつかのコツがあるので説明していきます。

タプナード

黒オリーブ 170g

ケッパー  70g

アンチョビ 50g

オリーブオイル 大さじ3

レモン     2分の1(15cc)

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最初に理解すべきポイントとして分子料理学に詳しいエルヴェ・ティス教授は「タプナードは乳濁液であるということを理解すること」とあげています。荒く刻んだオリーブにオイルが浮いているようなタプナードもたまに見かけますが、油っぽくなりがち。水中油滴型(O/W型)のマヨネーズと同じように考えれば、それを避ける事ができます。

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オリーブは必ず種つきを使うようにしてください。種を抜いた状態でオリーブは保存液の浸透圧の関係で味が抜けてしまい、美味しくありません。

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種のとり方は簡単です。ボウルやコップなどそこの平らなもので潰します。

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すると簡単に種がとれます。

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一気にやるときは天板などでもできます。

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すべての種を抜きました。次にオリーブオイルを除いた材料をフードプロセッサーにかけます。

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なかでもとても重要な材料があります。それはレモン。

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酸性の液体であるレモン汁は乳濁液を安定させ、また水分は乳化に必須の条件です。

さて、タプナードは水中油滴型の乳化液であるという説明はしました。乳化に必要な原則をもう一度思い出してみましょう。乳化に必要なのは水分と界面活性剤分子です。タプナードでは水分はケッパーとレモン汁、界面活性剤分子はオリーブとケッパーに含まれています。乳化を安定させるためには界面活性剤分子を分散させる必要があるので、フードプロセッサーをよく回します。

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この工程により粘性が生じ、キメがこまかくなります。材料は常温のものを使うようにしましょう。冷たいと分子の動きが悪くなり、油分を覆うことができなくなります。

ところでフランスを代表する三ツ星シェフの一人、アランデュカスの店『ルイ・キャーンズ』ではフードプロセッサーではなく、昔ながらのすり鉢でタプナードを作っていました。(少し前の話なので今もしているかはわかりませんが)

はたしてすり鉢でタプナードを乳濁液を安定させることが可能なのでしょうか? その疑問はレシピを読めば解消されます。デュカスによるタプナードのレシピにはにんにくが含まれていたのです。にんにくは界面活性力を持っているからです。にんにくを入れることでタプナードからにじみ出るオイルにも水分が混ざります。そのため油の粒子が細かく(完璧とは言えませんが)なっているため、油っぽさが軽減されているのです。

今回のレシピにはにんにくは入れていませんが、乳化を安定させるためには加えてもいいでしょう。

また同様の原理でゼラチンを加えても乳化はより安定します。その場合加えるゼラチンの量は2gです。

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フードプロセッサーを回しながらオリーブオイルを少しずつ加えていきます。マヨネーズをつくるときの原理です。乳濁液における油の粒子の大きさは撹拌する力が大きいほど、小さくなります。油の粒子が小さければ小さいほど油っぽさを感じさせず、また乳化が安定します。

また使う油はピュアオリーブオイルがお勧めです。EVオリーブオイルには油の分解物が含まれており、それが分離の原因になります。また、古い油も同様に分解物が多く含まれているため避けます。

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タプナードができあがりました。アンチョビが多めのレシピなので、好みの量に調節してください。刻んだバジルやミントを加えるのが個人的には好みです。

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調理における原理を理解することは分子料理学がもたらした成果の一つです。

Text : naoya

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