• キッチン
  • 2015/5/11 05:00:09

筍のアク抜きは大根おろしで

八百屋さんに行くと筍が山積みになって売られています。

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よほど新鮮なものならともかく、筍はそのままでは食べることができません。独特のアクがあるからです。筍に含まれるアクの正体はホモゲンチジン酸。里芋にも含まれている成分ですが、量が多いのでこれをなんとかしないことには美味しくありません。

筍は掘る前に湯を沸かせ、とよく言われるのは、掘った筍が酵素によってホモゲンチジン酸が生成されていくから。ですからなるべく早く加熱をして、この酵素を失活させる必要があるのです。また、ホモゲンチジン酸は水に溶けやすいため茹でるのが一番有効です。さらにアルカリ性の湯で茹でるとより多くのアクが抜けると言われています。

さて、一般的には米のとぎ汁や糠と一緒に茹でる方法が広く知られていますが、実際にどのような効果があるのでしょう? 一つは米のとぎ汁や糠を入れることで、湯に澱粉が溶けます。このコロイド状になった澱粉が灰汁を吸着する、と考えられています。

二つ目の理由は旨味や風味の流出を防ぐため。ただ入れ過ぎると逆に糠の匂いがついてしまうという弱点もあります。

つまり、米のとぎ汁や糠がなくても大丈夫、ということです。アルカリ性の液体で茹でるとアクがよく抜けるので、重曹を入れた湯で茹でればいいのです。市販のゆでタケノコの成分表には「ph調整剤」とあるのはこうした理由。ただ重曹を入れ過ぎるとまずくなります。旨味や風味の流出を防ぎたければ米のとぎ汁+重曹で茹でればいいでしょう。

ちなみに赤とうがらしもよく入れることがありますが、効果のほどは不確かです。辛味でエグみを感じにくくする、という推測もありますが「入れる意味はない」と言い切ってしまっていいかと思います。

さて、教科書通りの復習はここまでにしておいて、今日は新しい筍のあく抜き方法を試してみました。西麻布の日本料理店、分とく山の野崎料理長が考案したとされる「大根おろしを使ってあくを抜く」という方法です。

この方法は筍を長時間茹でないため、旨味と風味の流出が極端に少ないのが特徴。

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まずは大根をおろします。よく洗えば皮付きのままでOKです。3分の1くらいおろしました。

さらしなどで絞ります。

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200ccの大根おろしの汁が抽出できました。倍量の水(200cc)で希釈し、適当な大きさに切った筍を浸けます。

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筍は皮を剥き、料理に使う大きさに切っておきます。

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塩、小さじ1弱を加えます。塩を加える事で筍のアクが出やすくなります。

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このまま1時間〜2時間置きます。これだけでもアクはかなり抜けますので、筍の鮮度が良ければ生で食べることもできます。

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料理に使うなら浸けたものを1分〜2分ほど茹でます。加熱によってアクはかなり消えます。通常の米ぬかやとぎ汁を使った加熱だと1時間はかかりますが、このやり方だとせいぜい数分。炊き込みごはんにつかうなら下茹でなしで直接炊きこんでしまってください。また酒を入れて直煮(下茹でなしで直接煮ていくこと)にしても筍は絶品です。その場合は多めの酒と出汁で静かに煮て、串がささるくらいにやわらかくなったら、仕上がりに薄口醤油を少しだけ垂らせば出来上がりです。

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試しにフライパンで焼いてみましょう。白ごま油を敷いたフライパンでこんがりと焼きます。

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焦げ目がついたら火を一度、とめて酒大さじ2を加えます。筍は酒飲みというほどお酒と相性がいいのです。

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醤油大さじ2とみりん大さじ2をあわせたものを加え、強火で軽く煮詰めます。

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たれが絡めば出来上がりです。山椒をのせました。春のハーブである葉山椒は今が一番美味しい時期、もっとたくさん載せてもおいしいです。ちなみによく言われる手で「ポン」と叩くという方法はプロの料理屋ではあまり使いません。叩くとその瞬間に香りが揮発してしまい肝心の口のなかでの風味が弱くなってしまうからです。

また、食事の席でポンと手を叩くのはあまり上品な仕草ではないからかもしれません。葉山椒は簡単に栽培することもできるので、ベランダや庭先などに植えておくと便利です。それでは静かに春を味わいましょう。

 

 

 

Text : naoya

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