• キッチン
  • 2014/12/15 05:00:19

低温で24時間加熱すると豚の肩ロースも柔らかくできます

スーパーなどで売っている豚の肩ロースはなかなか難しい肉です。というのも筋肉が動く部位なので筋肉が発達し美味しいのですが、コラーゲンが多く加熱すると硬くなりがち。その弱点を補うために薄切りにして、例えば生姜焼きにすることが多いのですが、この部位を軟らかいステーキにできたら経済的です。

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肉のタンパク質にはおおまかにいってミオシンとアクチンの二種類が調理に大きく関わっていること、そして肉の硬さはコラーゲンの量が決めるということについて以前、書きました。(参考『鶏のブレゼをマスターして、肉料理の科学を理解する』)

簡単にまとめるとミオシンの変性は美味しいが、アクチンが変性は味を悪くする、ということです。そして、コラーゲンを分解させ、ゼラチン化すれば肉をジューシーに感じさせてくれます。問題はタンパク質の変性温度よりもコラーゲンが分解する温度が高いということ。それぞれPhや時間によっても変わりますが、

ミオシンは50度〜60度

アクチンは66度〜73度

コラーゲン(例えばⅤ型)は68度以上

の加熱によって変性します。コラーゲンを分解させようとするとアクチンが変性してしまい、その結果筋肉繊維から水分が押し出さされて肉が硬くなってしまうのです。

ただし、コラーゲンは時間さえかければ温度が多少低くても分解します。低温で長時間加熱するプライムリブという料理はその代表です。

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豚肩ロース肉をジップロックなどのチャック付きビニール袋に入れます。真空包装機があれば袋に入れて脱気、シールしたほうがよりいいですが、ジップロックでも問題はありません。湯煎器やスチームコンベクションオーブンなど温度管理ができる調理器具に入れます。加熱する温度は60度です。高いほうがコラーゲンは早く分解しますが、アクチンを変性させたくないので、ぎりぎりの温度を狙います。

問題はこの加熱に使う機械が高価ということ。

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日本では真空調理(実際には真空であることよりも恒温ということが重要なのですが)の現場ではスチームコンベクションオーブンの使用が一般的ですが、湯煎器という選択もあります。日本以外の国ではドイツのユラボ社やアメリカのポリサイエンス社の製品が広く使われています。スチームコンベクションオーブンのように開け閉めするたびにキッチンに蒸気が広がることがなく、温度が一定であり、出し入れもしやすいなどの利点があるからです。

問題はこの湯煎器、欧米での使用を前提としているのでたいてい定格電力が200V。小さなキッチンや家庭での使用はまったく現実的ではありません。

今回はTANICAが販売しているヨーグルトメーカー『ヨーグルティア』を使いました。一度単位で温度調整がきくので、家庭では便利です。温度があがりにくいですが、一度指定した温度に達してしまうとかなり安定します。なので水ではなく温度を計ったお湯と料理する袋を付属の容器に入れてセットします。

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温度は60度にセットし、

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加熱時間は24時間です。色々なヨーグルトメーカーを使ってみましたが、甘酒にも対応しているこの製品はなかなか優れものです。

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24時間経ったのでとりだし、氷水に浸けて冷やします。固まりのまま火を通し、冷やしてからカットしたほうが断面がきれいです。

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カットすると断面はこんな感じ。赤身の部分はきれいなロゼ色に火が通っていますが、白身部分は煮込み料理のような柔らかさです。例えばこの状態で一人前のポーションごとの真空にかけ、冷蔵庫で保存します。提供する直前にまた湯煎で温めて、提供すればいいのです。その際のお湯の温度は50度程度、60度を超したら意味がありません。

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塩、胡椒をして、表面を焼き付けます。表面を香ばしく焼き付けることで風味化合物が生成されます。この香りは唾液の分泌を促し、肉をさらにジューシーに感じさせることができます。

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非常に軟らかく、煮込みとステーキの中間のような存在の調理法と言えるでしょう。このままでももちろん美味しいのですが、さらに上のレベルに持っていくためにはソースの存在が不可欠。

というわけで次回はソースをご紹介します。

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最近はラーメン屋さんのチャーシューもこうした低温長時間加熱が増えましたね。

 

Text : naoya

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