• キッチン
  • 2013/12/16 05:00:22

ステーキを美味しく焼くには『肉を裏返しながら焼く!』もう一度、説明します!

食育通信ONLINEに以前『古くて新しいステーキの焼き方』という記事を掲載し、ステーキをつくるときには『肉は何度も裏返す』というTipsをご紹介しました。

三十秒焼いたら、裏返します。肉を投入したことで、温度が下がるので、火は強いままです。また、三十秒焼いたら、裏返します。また、三十秒焼いたら裏返します。肉の厚みによっても変わりますが、この作業を計二分三十秒〜三分おこないます。

肉は一度だけ、ではなく、頻繁に裏返します。温度計で測定してみるとわかりますが、フライパンと接していない面の肉の温度はどんどん下がっていきます。頻繁に返せば両面とも熱を吸収したり、放出したりする時間がないため、肉には早く火が通り、外側が焼きすぎる心配もない、というわけです。

この肉を焼くときに頻繁に裏返す、という考え方は調理科学の第一人者ハロルドマギーが提唱しているものです。ところが

「肉を裏返すのは一度だけじゃないの?」

「何度も裏返したらいけないのでは?」

という声があるのもまた事実。今回はこの問題を検証します。今回の記事を読めば本当のステーキの焼き方がわかります!

裏返すの反対派の主張

インターネットでステーキの焼き方を検索してみると、科学に反してむしろこちらのほうが主流のようです。

情報サイト『TuiTui』の記事『安い肉が高級肉に!? ステーキのおいしい焼き方テクニック』から引用します。

2.強火で片面を一気に焼く
フライパンを強火で熱し、煙が出始めるくらい熱くなったら、いよいよ肉を焼き始めます。
高温のフライパンで肉の表面を一気に焼いて、
肉汁を無駄に流出させないことが、おいしい焼き方のポイント。

焼き始めて約30秒経ったらフライパンを前後にさすり、肉の底に油を回しましょう。
これは、肉に均等に熱を加え、焼き色を揃えるためです。
表面がキッチリと焼けたら、弱火で焼いていきます。
こうすることで、肉の中心に火が通らないうちに表面が焦げてしまうのを防ぐことができます。
3.肉を裏返す
焼いているうちに肉の表面に肉汁が浮いてきたら、肉を裏返しましょう。
そのまま弱火~中火で焼きます。
裏返すのはこの1回のみ!

満遍なく焼こうと思って、何度も裏返すのは逆効果です。
肉の表面の肉汁が失われ、パサついた感じになってしまいます。

表面の肉汁が失われパサつく、と記事では説明されていますが、これはおかしな話です。表面の水分が失われないことにはメイラード反応が進まず、香ばしい仕上がりにならないからです。また、肉を焼く上で大事な事は内側にジューシーさをどう残すか。ぱさつく原因はむしろ加熱しすぎによるもの、と考えるのが自然でしょう。

ALL Aboutの記事でも

■ステーキをおいしく焼くコツ
何度も返してはだめ。ヒレのように厚みのある肉の場合は、中火ぐらいで、焼き油をかけながら焼く。薄い肉を焼く場合は、両面にしっかり焼き色がつくのを待っていては、焼きすぎて固くなってしまうので、強火で表にしっかり焼き色つけて返し、裏面はさっと焼いて取り出す。(毎日のお助けレシピ/調理テクニック 焼く より)

『何度も返してはだめ。』と仰っていますが、その理由は書かれていません。

辰屋秘伝!ステーキのレシピという記事でも

達人のポイント
その1. 焼く前に常温に戻しておく!
その2. ひっくり返すのは一度だけ!
その3.「レア」って中は生だと思っていませんか?実は違うのです。うっすらピンク色がGoodなできあがりです。(太字、著者)

この記事も同様で一度だけ、と書かれていますが、理由は明確ではありません。

他にも数数え切れないほど、一度だけ! と主張される方がいます。料理本の多くにも、こういった内容が『肉を焼くコツ』として書かれています。

しかし、

『肉は何度も裏返しながら焼いた方が旨いのです!』

今回は、はっきりと異議を唱えたいと思います!(大げさですが)

 

これが本当の肉の焼き方だ!

 

分子料理に精通し、調理科学の分野に貢献したとして名誉博士号を受けたイギリスの三つ星シェフ、ヘストン・ブルメンタールはテレビ番組『how to cook like heston』のなかで、こんな風に説明しています。

Heston Blumenthal – The Perfect Steak』

私が考えるに完璧なステーキの条件は、ジューシーなこと、やわらいこと、そして風味がいいことです。多くの人々はスーパーマーケットで冷蔵庫に入ったステーキ肉を買ってきて、パックからとりだした肉をフライパンに入れて、中火で焼いてから、食べてます。そのやり方は全部、間違いです。

動画を見てみましょう。彼は室温に戻した肉を、強火で煙が出るくらいまで熱したフライパンで何度も裏返しながら焼いてきます。途中、サーモグラフィーでその理由を説明しています。

肉は何度も裏返します。サーモグラフィーで見ると、フライパンに接していない方の面の表面温度がどんどん下がっていくのがわかると思います。肉を何度も裏返すことで効率良く、短時間で加熱し、その結果、内部の水分が失われずジューシーに焼き上がるのです。

 

肉は何度も裏返した方が本当にいいのでしょうか?

 

フードブログ『Serious Eats』でもその検証作業を行っています。(『The Food Lab: Flip Your Steaks Multiple Times For Better Results』を参照)

肉を何度も裏返すと焦げ目がつかない(メイラード反応が進まない)というのも反対派の主張のひとつです。

前述のブログでは何度も裏返して焼いた肉と一度だけ裏返して焼いた肉を同一条件下、比較しています。

The Food Lab: Flip Your Steaks Multiple Times For Better Resultsより

The Food Lab: Flip Your Steaks Multiple Times For Better Resultsより

さて、左が何度も裏返して焼いた肉、右が一度だけの肉です。焦げ目に違い、わかりますか?

The Food Lab: Flip Your Steaks Multiple Times For Better Resultsより

The Food Lab: Flip Your Steaks Multiple Times For Better Resultsより

肉を休ませているところです。焼き色に優位な差がないことがわかると思います。記事のなかでは何度も裏返した方が良かった点として早く火が通ること、と挙げています。

ハロルドマギーが指摘するとおり、何度も裏返したステーキは一度だけのものに比べて、30%ほど早く火が通るようです。繰り返し裏返すことで、表面が冷めることなく、常に熱にさらされているからです。

重要なのは次の写真です。

The Food Lab: Flip Your Steaks Multiple Times For Better Resultsより

The Food Lab: Flip Your Steaks Multiple Times For Better Resultsより

左が一度しか裏返さなかったもの、右が何度も裏返した肉です。両方のステーキの内部温度は同じになっています。

何度も裏返した肉のほうが均一で、ジューシーなことがわかると思います。

断面からもツヤがあり、しっとりジューシーなことがおわかりかと思います。

 

何度も裏返すと肉の旨味が損なわれるというのは大きな間違いです。そもそも裏返すことで肉の旨味が損なわれるとはどういう状態なのか、反対派の人々は説明しません。

それではまとめです。

ステーキを美味しく焼くためには

常温に戻した肉を強火で何度も裏返しながら短時間で焼く!(そしてきちんと休ませる)

 

Text : naoya

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して食育通信onlineは一切の責任を負いません。

ページ上部へ
ツールバーへスキップ