• キッチン
  • 2013/7/22 05:00:29

青菜の茹で方 〜21世紀料理教室 その4〜

前回に引き続き、塩のお話です。

ホウレン草

ホウレン草

ホウレン草や小松菜などの葉野菜を茹でる時、おおかたの料理本にはこんな風に書かれています。

 沸騰した湯に塩、少々を加え、ホウレン草を茹でましょう。塩を加えないで茹でると色が悪くなります。

しかし、試しに塩を加えない湯で青菜を茹でてみても、色はまったくあせることなく、鮮やかなまま。これは一体、どういうことでしょうか?

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青菜の茹で方

青菜を茹でるとき、塩を加える理由はそもそもなんでしょう。

どうやら様々な意見があるようです。

「塩を加えると沸点が上がり、野菜が早く茹で上がります」

よく聞く説明ですが、残念ながら迷信です。例えば3リットルの水に10グラムの塩を加えて上昇する沸点の温度は、0.0004度ほどです。どれだけ塩を入れても上昇する沸点はわずかに1度ほど。それを言うなら暑い夏と寒い冬、それから気圧が沸点に与える影響のほうがずっと大きいです。
ちなみに中華料理の人が茹で湯に塩と一緒に少々の油を入れて「沸点が・・・・・・」と説明されてますが、あれもまったくのデタラメです。油を入れても、水の沸点も変わりません。ただ、引きあげる際などに野t菜に油がつくことでツヤを出したりする効果はあります。

「でも、塩を入れると湯が沸き立ちますよ?」

それは塩が核となって、泡が立っているだけです。実際は細かい粒子ならどれでも同じで、砂でも同じように泡立ちます。

「少々の塩を入れると味がつくのでは?」

残念ながら、茹でた後、冷水にとるので、少々の塩味は流れてしまうでしょう。

「塩を入れることで野菜の葉緑素が安定化すると聞きました」

その通りです。しかし、現実的な調理を考えるとどうでしょうか?

野菜の色が悪くなる理由を、少し復習しましょう。
野菜を茹でると、細胞のいくつかが破裂し、その結果様々な有機酸が生じます。これらの酸の水素イオンが緑色の元となるクロロフィルのマグネシウムイオンと化合し、フェオフィチンという化合物に変化します。その結果、野菜の色が悪くなるのです。
塩を加えることで細胞内からクロロフィルが溶け出しにくくし、さらに水素イオンが占める場所にナトリウムイオンが入りこむことで、クロロフィルを安定化させます。

実際には「少々の塩」程度では効果はありません。塩によってクロロフィルを安定化させるためには、最低でも3%ほどのかなり濃い塩分濃度の水を用意する必要があります。
フードライターのハロルド・マギーは「野菜を茹でる時、3%の塩水を使えば、早く茹で上がり、緑色も保たれる」としています。たしかにレストランなどでは、このくらいの濃度の塩水で茹でているところもあります。
実際に試してみたところ、3%の塩水で茹でた青菜は塩によって風味が充分に引き出された美味しいものでした。しかし、あくまで主観ですが、毎日食べる家庭料理にはやや塩味が強すぎる、と感じられたのも事実です。

色よく茹でるためには塩より水の酸度の方が重要です。茹でるには中性、もしくは弱アルカリ性の水を使うこと。さらには茹でる時に生じる有機酸の濃度を薄めるために、たっぷりの水を使いましょう。蓋は有機酸を揮発させるために締めない方がベターです。

結論

青菜を茹でるときはたっぷりのお湯で茹でましょう。

もしも塩を加えるのなら、少々では無意味です。効果を期待するなら塩をたくさん入れる必要があります。でも、入れなくても青菜は充分に色よく茹で上がります。
家庭では節約にもなりますし、塩を加えないで茹でてみてはいかがでしょう?

塩味が欲しいなら、後からおいしい醤油をかければいいだけですから。

Text : naoya

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