• 食事情
  • 2017/1/7 05:00:05

ああ、納豆甲子園! 第5回 東京都予選 (その1)

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世界中の納豆ファンのみなさま、こんにちは!逆にきらいな方にはごめんなさい。
日本中の納豆を集めて最も「納豆らしい納豆」を決める納豆甲子園を誰に断ることなくやっております。ここでいう納豆らしいとは、
ダサさ(郷愁を誘う)、クサさ(風味がある)、ネバり(菌が元気)
つまり、最も洗練されていない、垢抜けない納豆のこと。最もおいしいではありません。
詳しくはこちらをご覧ください。

連載第1回 http://magazine.shokuikuclub.jp/food/20161105_114005/

【東京の納豆事情】
日本一の大消費地な東京ですが、納豆をつくってる印象は全くありません。どこのスーパーで探しても地方の大きなメーカーのものか、こだわってつくった特別なものばかり。近所でつくってさっき持ってきました、という納豆は見たことありません。
とはいえゼロでも無いだろうと全国の納豆メーカーがまとまってるサイトのリストを確認すると意外や意外、かなりの数が載っていました。数だけでみれば前回の福島よりも多いかも。

こりゃ大変なことになったと検索したり電話をかけたり始めたところ、さらにびっくり。そのリストの半分くらいは既に辞めていたり、電話が通じなかったりなどで、実際に現役で納豆をつくっていて現在も手に入るメーカーは少ないのでした。それほど古いデータでも無いのですが。

納豆は江戸落語にもちょいちょい出てくるし、関東圏内なので無くてはならない食べ物ですが、生産技術も流通も発達した現在、近所で生産する必要があまりないのでしょう。さらにスーパーだけでなく生鮮品に特化したコンビニも出現したりなどローカルなブランドの縄張りがどんどん侵されていることも原因のひとつかもしれません。

東京にいれば日本中の美味しいものが食べれてそれは幸せな事ですが、今はもうない納豆でネットに姿が残っている中にはかなり可愛らしいジャケットのものが多くあり、どんなものだったのかとても気になり残念でなりません。都会のグルメたちが食べて育んできたものなので不味いはずはないのですが、東京の納豆は外来のブラックバスに脅かされる鮒のように絶滅危惧種なのでした。
とはいえ、人口と事業所自体の数が多い東京。半分以上なくなってもまだまだたくさんあるのでこれから数回にわたり東京の納豆をご紹介してまいります。

【神田の納豆】
先ずびっくりしたのは、江戸のど真ん中、1300年の歴史を持つ神田明神の門前になんと2件も納豆屋さんがありました、三河屋綾部商店と天野屋。
どちらも創業は江戸時代で、地下には糀(こうじ)をつくる室(むろ)を持ってます。さらにどちらも甘酒と味噌を扱っている。この事から江戸ではこういうスタイルのお店が一般的だったのかも。

落語の噺によると納豆も(これもさっぱり見なくなったが)豆腐や焼き芋のように、路上で声を出して行商していたそうです。さらにスーパースターの古今亭志ん生は納豆好きで、売れないころは納豆を売り歩いてたのだと。それでも声をだすのが恥ずかしかったそうで、売れ残りの納豆を家族で食べまくってたそうです。

ひょっとするとこのお店で納豆を仕入れ、街で売っていたのかもしれません。

【1番 千代田納豆 藁づと(小粒)三河屋綾部商店(千代田区外神田)】

先ずはインパクト大な藁の納豆。水戸付近の高速のSAのおみやげコーナーで良く見ますが、ハッタリ感が強くて手に取る気にはなれず、今回が実は初体験です。

この実物をよく見ると、藁ではありますがそこにシンプルに筆文字の札が輪ゴムでくくってるだけ。しかもそのゴムについでに辛子までも。江戸っ子のロックなワイルドを感じます。そこにハッタリやお土産アピールは皆無でした。

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どうやって納豆が収まってるのだろう、あれだけ扱いにくいものをストロー状の素材の集合にどう収納させるのかとても不思議でした。恐る恐る上の藁の結び目をひらくと、2つ折りの藁が広がり納豆の塊が顔を出す。たわんだ藁の間に挟まってるだけで、何の仕組も工夫もない模様。
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やってみて初めてわかったが、そこから箸で納豆を取り出すのがかなり大変。3分くらい箸でずっと豆をはじいてやっと全部出せた。最初にこれを思いついたのは何でなのか本当に不思議。
とはいえ、これに豆を積めるのもこれはかなりの技術がいるのだろう。発酵していないとはいえこの不安定なものにこぼれないように豆をつめるのだから。
現在のプラの容器は味気ないかもしれないが、作る方も食べる方にも画期的な発明と初めてわかった。

かき混ぜてみると糸の粘りが凄くて驚いた。
糸の一本一本がかなり細く、そして量が多い。手にボンドが着いたのを剥がすときに沢山糸がひくような感じ。こんな納豆の糸引きは見たことがない。そして伸びた糸を戻すとゴムのように縮んで太くなった。これは藁の効果なのかどうなのか。

香りも程よく、豆の味もしっかり。タレがなくても充分な味。そのままでとても美味しいのでご飯にのせるのがちょっともったいないくらいのよく出来た納豆。
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採点
ダサ度(郷愁を誘う)3 ネーミングやジャケット(パッケージ)のそれらしさ(4点満点)
クサ度(風味がある)3 納豆臭さ、香りの強さ(3点満点)
ネバ度(菌が元気)2 粘りの強さ、糸の数と密度(3点満点)
合計 8点

【2番 千代田納豆 経木(大粒)三河屋綾部商店(千代田区外神田)】

こちらもインパクト重視の経木。経木に直接包まれてる納豆。
大量生産ではない、強気で頑固な作り手なのだろう。包装もシンプルで完結。あざやかなウコン色の紙袋に商品名と表号とコピーのみ。将軍家や宮内庁にも味噌を納めていたとのことから、ブランドにはとても自信があるのだろう。更に中にもシンプルな包装で2度包んである。

これまでもこの先何百年もそのままで行けそうなデザインだが、個人的にはもうちょっと遊びがあっても良いような。

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まず驚くのはおせちの青豆のように、豆に黒い粒が見えること。おせちの豆は通常の黄色い大豆ではなく青大豆というまた別なもので甘みが強いのが特徴。国産大粒とありますが、青大豆を使ってるのかもしれません。
かき混ぜてみると先程の藁づととは様子が違い、糸が泡立ち透明のフィルムのような膜を貼ります。さっきが面ならこっちは線で展開するかんじ。糸は引きが優しく、サッと消える感じで爽やかな印象。

豆が違うせいか、確かに甘みが強くてもちもちしてる感じ。香り抑えめの上品なスッキリした納豆。

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採点
ダサ度(郷愁を誘う)3、クサ度(風味がある)1、ネバ度(菌が元気)3、 合計 7点

【3番 柴崎納豆(大粒)天野屋(千代田区外神田)】

天野屋は先の三河屋よりもふりかけや茶漬けなど色々と納豆商品があり、おそらく若い代になって色々と工夫しているのかもしれない。パッケージやロゴなども過去の流れを組んだ上で新しいものにきちんと更新されているようだ。
納豆も藁や経木ではなくプラ容器に入っているが、よくあるサイズではなく通常の2倍ほどあるずっしりしたもので驚いた。

江戸と民芸のデザインがうまく混じり合ったロゴやパッケージはとても良い雰囲気で、老舗の新しいデザインとしてとても良い成功例だと思う。しかも包装の方法も洒落ていてお土産としても優れている。日常に使うよりはお参りに来た時の記念に使うように考えつくされているのだろう。

三河屋のインパクトは凄いが、土産としてはこちらのほうが使いやすいと思う。

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かき混ぜてみると糸が透明でキメが細かい。そこで優しい感じかと思えばしっかりと強く粘って箸を引っ張ってくる。香りは抑えめだが豆の味がしっかりしていて、コクや苦味もしっかりしていて個人的には好きな納豆。

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採点
ダサ度(郷愁を誘う)3、クサ度(風味がある)1、ネバ度(菌が元気)4、 合計 8点

この2件は他にもどちらも標号に蔵の屋根のようなモチーフを使っていたりと共通点が多いので、甘酒や味噌など他の商品を比べてみても面白いと思う。江戸味噌はこのあたりに詳しくあるので是非ご覧ください。
http://magazine.shokuikuclub.jp/tag/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%91%B3%E5%99%8C/

次回は墨田区の納豆に続きます。

Text : masaei

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