• 食事情
  • 2016/7/31 07:40:19

Ashrafさんのご当地ビーグル偏愛録(第30回:福島県古殿町)

こんにちは! Ashrafです。

福島県南部に位置する古殿町にやって来ました。10月に古殿八幡神社で行われる流鏑馬が有名ですが、その他には目立った観光資源はありません。浜通りと中通りに挟まれたエリアで交通の便もよくないことから、古殿町という町があることさえ知らないという方も多いのではないでしょうか。街を縦貫する国道349号線も、街の中心部を外れると狭隘な山道になります。マイカーであっても、なかなか行きにくいエリアです。

物産館・レストラン・スナックスタンドからなる施設

物産館・レストラン・スナックスタンドからなる施設

この町に2010年3月、道の駅「ふるどの」がオープンしました。比較的新しい駅にしてはこぢんまりとしており、長閑な農村風景によくマッチした施設です。もともとは町営の農産物直売所だったのだそうです。道の駅に登録されて町内外から多くのお客さんが訪れるようになったようで、なかなかの活況を見せていました。道の駅は主だったロードマップやカーナビゲーションにも掲載されますので、集客力が飛躍的にアップするのでしょう。道の駅を巡る旅を楽しむ方も多く、これまでこの町を通過することさえなかった人々が、目的地のひとつに選定して旅をするようになります。道の駅は、街おこしを考えるうえでとても有意義なシステムであると思います。

物産館を覗いてみると、その街の特性がよく分かります。「ふるどの」には、多種多様な餅がズラリと並んでいました。町内産のもち米を使って作られたものです。この一点だけを見ても、古殿町がもち米の特産地であることが分かります。商品ラインナップもかなり特徴的ですので、今回は餅にスポットを当ててみることにしましょう。

目移りするほどのバリエーションがある

目移りするほどのバリエーションがある

シソの葉で包んだ「しそ餅」も印象的

シソの葉で包んだ「しそ餅」も印象的

気になったのは、地域の保存食として古くから親しまれているという「凍み餅」。餅を水に浸してから凍らせ、乾燥させたものです。東北地方で広く普及しているものですが、古殿町ではご当地キャラクター「しみもっちー」を考案し、PR活動に取り組んでいます。ただ、凍み餅は水につけて戻してからフライパンで焼くなど調理をする必要があります。この場で食べられるものではないので、今回は諦めます。

「しみもっちー」の誕生日は、4月3日(し・み)。

「しみもっちー」の誕生日は、4月3日(し・み)

すぐに食べられる餅の中に、気になる商品がありました。その名は、「じゅうねん餅」。「じゅうねん」とは、エゴマのこと。福島県に特有の地域呼称です。エゴマは必須脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含むことから、近年健康食品として注目を浴びています。主に種子から搾り取ったエゴマ油が食用されていますが、その大半は中国などから輸入されています。しかし、福島県南部の阿武隈地方では古くからエゴマの栽培が盛んに行われてきました。「じゅうねん」という独特な地域呼称が生まれたのも、特産地ならではのことでしょう。ちなみに、この呼称の由来は「食べると10年長生きする」という意味合いなのだそうです。

複数人で訪れるのなら、いくつかの商品を買ってシェアするのもよい

小腹を満たすのにちょうどよいボリューム感

福島県内での「じゅうねん」の利用法として特徴的なのは、精製した油ではなく種子をそのまま使うという点にあります。「じゅうねん餅」のタレのベースは、味噌。水気が多くサラサラした味噌ダレに、擂ったエゴマの種子をたっぷりと加えています。タレの味が強すぎず弱すぎず、素朴でありながらもしっかりと腰の据わった味わいでした。甘みを加えた味噌は、炭水化物との相性が抜群ですね。エゴマは、ある程度粒を残して擂ってあるので、プチプチとした食感も楽しめました。味覚に大きく影響を及ぼす食材ではなく、食感の方で存在感を発揮していました。

「じゅうねん」の粒が見えるのも面白い

「じゅうねん」の粒が見えるのも面白い。このような食べ方は珍しく感じる

そして、餅自体がとても美味しかったです。やわらかく滑らかで、まるで杵と臼でたった今ついたばかりの餅のようでした。言い得ているか分かりませんが、小学生時代に食べた、地域の集会所で毎年行われる餅つき大会でついた餅を思い出させるものでした。

ちなみにこの日は、雑誌の取材でJR三春駅構内の駅そば店「ばんとうプラザ」を訪れました(その帰りに道の駅「ふるどの」に立ち寄りました)。「ばんとうプラザ」で提供している「炙り三角揚げ」にも、じゅうねん味噌がたっぷりと塗られていました。こちらは、エゴマをしっかりと擂り、粒を残さずに味噌に練り込んだものでした。

「ばんとうプラザ」では、じゅうねん味噌の販売もある

「ばんとうプラザ」では、じゅうねん味噌の販売もある

多少の違いはあるものの、どうやら福島県ではエゴマと味噌を合わせて食べるのが一般的なようです。味覚的な相性が良いと同時に、味噌もまた福島県の特産品のひとつです。味噌は産地や蔵元によって味わいが大きく異なりますので、「じゅうねん味噌」にも個性が表れます。三春のものはどちらかというと塩気が強く、古殿のものはやや甘めでした。阿武隈地方を巡って、お気に入りの「じゅうねん味噌」を探すのも楽しいのではないでしょうか。

 

☆☆お店データ☆☆

「道の駅ふるどの」

  •  国道349号線沿い(田口山下バス停付近)
  •  定休日:年末年始
  •  営業時間:9:00~18:00
  •  主なメニュー:じゅうねん餅320円、しそ餅250円、あんころ餅320円

Text : ashraf

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