• 食事情
  • 2014/1/21 05:00:01

自給率1%の東京だからできること。

全国には「伝統野菜」というものがあります。例えば、東京なら「江戸東京野菜」京都なら「京野菜」大阪なら「なにわ野菜」など。
各都道府県ごとに定められている条件を満たすお野菜たちが認定されて、地域で大切に育てられ、その町のブランド野菜になり、その地域を盛り上げてくれています。その野菜の多くは江戸時代や明治時代からその土地に馴染み、その地域に住まう人々や自然と寄り添ってきた野菜です。

その中で、今回は東京の話を少し。

江戸時代、現在の東京都世田谷区辺りでは茄子や大根などを栽培し、江戸の青果市場へ出荷していました。また、昭和初期までは、大根・南瓜・茄子・胡瓜・葱など様々な野菜を自家採種し、形や質の優れた野菜を選抜し、世田谷の風土に適した野菜に育てていたそうです。
その後、日本は都市の近代化が進み、東京に人口が集中したため、海が埋め立てられて大きなビルがたち、畑は住宅やマンションに変わっていきました。
今では、ご存知のとおり畑も少なくなり、もちろん自家採種する光景もなかなか見ることはできません。

東京の伝統野菜は、練馬大根、大蔵大根、亀戸大根、馬込三寸人参、品川蕪、金町蕪、小松菜、青茎三河島菜、奥多摩わさび、内藤とうがらし、宇奈根ねぎ、のらぼう菜、ウド、アシタバ、小笠原かぼちゃ、馬込半白節成、下山千歳白菜、などがあります。どの野菜も「大きすぎるから」「量産ができないから」「規格が揃わないから」など、さまざまな理由から、市場に出荷できず、栽培する農家さんが減り、その野菜の存在が途絶えそうな状態でもあるのです。

先日、東京世田谷区宇奈根で、「宇奈根ねぎ」を栽培している海老澤健さんとお会いしてきました。

本文用①海老澤さん

海老澤健さん

海老澤さんは世田谷区宇奈根の「宇奈根ねぎ」を自家採種しながら、作り続けている農家さんです。「宇奈根ねぎ」は、一般的なねぎと比べると折れやすいため、市場に出荷しずらく、年々栽培する方が減っているお野菜。海老澤さんはそんな「宇奈根ねぎ」を今も大切に栽培し、守っていらしゃいます。

宇奈根ねぎ

宇奈根ねぎ

本文用③宇奈根ねぎ

 

 

 

2012年度の日本の食料自給率は39%でした。この自給率を都道府県別にみた別の統計表があります。ちなみに東京都の自給率は1%です。

http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/pdf/22_23todouhukebetujikyuuritu.pdf(参考資料「都道府県別食料自給率:農水省」)

海老澤さんから、世田谷区の農家さんは約370人いるということを教えていただいた時、恥ずかしいのですが正直に言うと「370人もいらっしゃるんだ!」とびっくりしたのですが、、、
世田谷区の平成24年度の人口は860,935人。約370人の農家さんが約86万人の「食」をささえる計算になります。ですがそれは不可能なことだと一目瞭然です。東京は、食も、電力と同じように、地方の方々に野菜の栽培をお願いしなければ、生活が成り立たないのです。

「今の東京は自給率1%」

これは生産性のことだけを言っているのではなく、誰もが1日の中で1%くらいしか、自然や植物や野菜に触れることがない、と、東京に住まう人々のライフスタイルそのものを、表しているように感じます。私たちは日々何を生産しているのでしょうね。ただ、東京は人口が多い分、価値観の多様性は素晴らしい。さまざまな文化が行き交い、それを認め、意識が高く、世界が「TOKYO」を見ているのも事実です。

なぜ、いま、東京の話をするのでしょうか。
それは、自給率1%の東京に住む私たちに役割があるんです。

地方の方々に、お野菜も電力も担ってもらっている代わりにできること、それは何でしょうか。伝統野菜のような、その存在が失われそうなお野菜たちを「食べる」ことです。東京に住む沢山の人たちがそのお野菜を食べることによって、農家さんたちがもっと沢山の伝統野菜をつくることができます。そうすることで、そのお野菜たちの存在を守ることができるのです。「食べる」ことで「守る」ことができるのは、東京でできることだと、思っています。

『冬の種市』開催のおしらせ

来る1月25日(土曜日)、26日(日曜日)の2日間、種が守られてきた野菜が全国から集まるファーマーズマーケット「冬の種市」を東京の吉祥寺にて開催します。(http://www.organic-base.com/topic/tane/
そこには「宇奈根ねぎ」や「のらぼう菜」など、伝統野菜、古来種野菜とよばれるお野菜が沢山並びます。目に余る色とりどりのお野菜たちは、私たちの身体がうんと喜ぶ美味しいも持ち合わせているのです。
ぜひ足を運んでそのお野菜たちを見にいらしてください。

Text : warmerwarmer

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