• 食事情
  • 2013/12/10 05:00:46

個性豊かな野菜たち

はじめまして。

八百屋と野菜の卸業をしているwarmerwarmerの高橋一也と申します。

八百屋と言いましてもお店を構えているわけではありません。市場に並んでいる一般的なお野菜をお売りしているわけではなく、「在来種や固定種のお野菜」「自家採種され栽培されているお野菜」を主に扱っております。

「食べることでその種を守ってゆく」

少しでも多くの方にそれを伝えていこう、次代の子供達に受け継いでいこう、と活動しております。

そのため、沢山の楽しくて美味しいお野菜に出逢います。地方のおじいちゃんやおばあちゃんたちが、先祖から代々受け継ぎ守り続けてきたお野菜、その土地でしか栽培できないお野菜など。

このたび「野菜」のお話ができる貴重な機会いただきましたので、私たちが出逢った美味しくて珍しくて大切なお野菜たちについて、お話を書かせて頂こうと思います。

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現在の八百屋さんやスーパーマーケットに並んでいるお野菜は、慣行栽培の野菜、有機JAS認証取得の野菜、また自然栽培などの野菜もすべてにおいてF1種(*1)の野菜が多く、古来から命が続いている種から栽培されたお野菜たちは「全体の1%にも満たない」と言われています。

 

その背景には。

日本では1960年代から高度成長期に入り、都市化(*2)が進んできました。まさしく今の東京や大阪などの大都市が形成されていく時代に、劇的に野菜の需要が膨張しました。農水省がそれに応えるために、「単品大量生産」「遠隔地輸送」「周年供給」を進め、また市場からも「単品・大量生産・大量供給」などの声も高まり、現在の市場が出来上がります。ですから、当時の人々の欲求を満たすがため、現在の市場にはF1種のお野菜が多く流通しているのです。今もなおその流れは強くあります。築地市場の移転はその好い例ですが、貨物車がもっと入れるよう、今より大量の食品が運べるよう、食品がより快適に流通する事も、移転要因の1つでもあるのです。あのたたずまい、日本の食卓を支え続けた、誇り高い築地市場が、効率化だけの波にのまれないことを祈るばかりです。

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その一方で、在来種、固定種のお野菜たちは、日本の地域や風土に根ざした、個性豊かな野菜たちです。上にも書いたように流通業界と人々の欲求でもある需要が「単品大量生産、大量供給」を加速させ、個性的なお野菜たちが衰退や絶滅の危機にあっていることは事実です。「カタチが不揃い」、「日持ちがしない」、「サイズが大きい、小さい」、「病気になりやすく栽培しにくい」と、その特徴を聞くと弱点の多い野菜に聞こえますが、ここはひとつ人間に例えて置き換えてみましょう。

「背格好の同じ人はひとりもいない」

「同じ顔立ちの人はひとりもいない」

「兄弟なのに同じ性格ではない」

どうですか?これは一見、当たり前のことですよね。

人もお野菜たちも、もちろん植物や動物も同じで、

「同じ背丈のお野菜がひとつもない」

「同じ味のお野菜がひとつもない」

「同じ形のお野菜がひとつもない」

そのお野菜たちに、寄り添うべきは、その命をいただく私たちの方。

味や形が違えば、少し野菜のはじっこを食べてみて、いつもより少しだけお醤油を多くしよう、お塩を少なくしよう、煮物にしてみよう、など、こちらの手を動かせばよいだけの話ですから。

 

これまでお話したとおり、固定種、在来種のお野菜の魅力、それは多様性です。

「大根」1つをとってみても、日本には大根の種類が100種類以上あると言われています。10年前、私は約800年もの命が続く「平家大根」に出逢いました。この大根が私の人生を変えたと言っても過言ではありません。

そんな愉しくて美味しくて大切なお野菜たちのこれまでのことやこれからのことをご紹介してゆきます。

 

どうぞ末永くお付き合いくださいませ。

 

warmerwarmer 高橋一也

 

(*1)一代雑種

(*2)東京都の自給率は1%、北海道は191%

参考資料:農水省「平成23年度都道府県別食料自給率」

http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/pdf/h23todouhukenbetujikyuuritu.pdf

Text : warmerwarmer

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