• 食事情
  • 2013/10/24 05:02:50

『世界料理学会 特別リポート』第12回 インスピレーションを刺激するもの

ホセアン・アリッハはビルバオにある「ネルア」というレストランのシェフ。以下はパンフレットからの紹介、抜粋である。

1978年生まれ、17歳で料理の未知へ入り、マルティン・ベラサテギらの下で自分のスタイルを確立。香りやテクスチャー、味の本質を追究することが基本だが、前衛的な一面も持つチャレンジ精神豊かな料理人。2000年最優秀ヤングシェフ賞、09年 idenita Goloseによる国際最優秀シェフ賞、10年コンセプチュアルイノベーション賞など国際的評価も高い。

「ネルア」というレストランを理解するには、ビルバオとグッゲンハイム美術館について少し説明が必要かもしれない。ビルバオは先に書いたサンセバスチャンにほど近い場所にあるくすんだ工業都市だった。1970年代後半から重工業が衰退し、街自体も斜陽化していたのだ。そこで、ビルバオは都市再生を賭けて、アメリカのグッゲンハイム美術館を誘致し、合わせて空港や複合文化施設などの再開発にのりだす。

Wikipediaより引用

Wikipediaより引用

アメリカの巨匠の一人、フランク・ゲーリーが設計したこの美術館の登場によって、ビルバオには年間100万人を越える多数の観光客が押し寄せるようになった。文化による都市の再創造、それは「ビルバオ・ショック」と呼ばれ、地方再生の成功例として注目を浴びるのだが、ビルバオが優れていたのは建築と美術だけではない。そこに併設されたレストランも、また評判を呼んだ。そのレストランがネルアである。

講演のテーマは「INNOVegetal」巧みな野菜使いで有名なシェフらしいプレゼンテーションだった。

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「僕のコンセプトは英語でいうとCore、根源的であったり、本質的であったり、ということです。自然を理解して、そこから本質を探していくような感じです」と語るホセアン氏。「ビルバオの再開発は建築が有名ですが、市が手がけた世界的に大きなプロジェクトで、ネルアはその一部です。ビルバオ市はガストロノミーを自国の文化として、捉えてきました。僕と僕のスタッフもガストロノミーを強化できたら、と思っています。そのために必要なことは、人を幸せにすること。皆様と共通の言語をつくりだす、ということです」

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「ビルバオ・グッゲンハイム美術館が十五年前にできたとき、それはなにかを変える大きなチャンスでした。僕らが試みたことは自然を街のなかに引き込むことでした。そのためにバスクの野菜たちに焦点を当てました」

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鱈の料理も一品紹介された。火を通した玉ねぎにカリカリにした鱈の皮を添えた料理。玉ねぎが鱈の身質とよく似ているところから発想した、というその料理は、ホセアン氏のインスピレーションを刺激するものが野菜であることよく表していた。

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スペインのシェフというとエルブジのフェランアドリアに代表されるような料理へのアプローチが注目されているが、自然をテーマにしたホセアン氏の料理技法は来場したシェフたちを大いに刺激したようだった。

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